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初の「連続指し値オペ」 加速する円安で日本経済は?

2022年4月2日 9:00
初の「連続指し値オペ」 加速する円安で日本経済は?

日銀は先月29日から31日までの3日間、「連続指し値オペ」と呼ばれる臨時措置を実施しました。発表直後、外国為替市場では円安ドル高が加速するという状況が発生。いったい市場で何が起きたのでしょうか? そして円安による私たちの生活への影響は?

■異例の措置で金利抑え込み

日銀は先月28日、「指し値オペ」を実施すると発表。さらに、3月29日から3月31日まで複数日にわたって行う措置「連続指し値オペ」を初めて実施しました。

これは、日銀が現在進めている大規模な金融緩和策の一環で、10年の国債の利回りを日銀が許容する上限「0.25%」より下げる措置です。

■国債と長期金利の関係

国債は国が不足する収入を補うために発行するものです。金融機関や機関投資家が運用資産として保有しているほか、公的年金の積立金としても運用されています。

国債のうち特に流通量が多いのが満期までの期間が10年のもので、金融市場やニュースなどで使われる「長期金利」という言葉は、この「10年物国債の利回り」をさします。

日銀が大量の国債を買うことでなぜ利回りは下がるのでしょうか?

指し値オペによって日銀が「国債を無制限に購入する」と宣言すると、国債の人気が上がり国債を買う人が多くなります。すると、国債の価格は上がることになります。すると、利益の割合はどんどん減っていくのです。よって長期金利は下がることになります。

この異例の措置の発表後、急速にドル高円安が進み、一時、およそ6年7か月ぶりに1ドル=125円台をつけました。長期金利が下がるとなぜ円安になるのでしょうか?

■なぜ円安が進んだ?

今回の措置によって、日銀は低い金利を無理にでも維持するという姿勢を示しました。なぜ、日銀は低金利を維持するのか。

帝京大学の宿輪純一教授は、「当面、日銀は金融政策を変えることはできない。なぜなら日本国内の景気はまだ不安定で、物価は上昇しても賃金が上昇していない。とてもではないが金利をあげられる状況ではない」と話し、日銀は緩和策から脱却する道筋すら見えていないと指摘します。

一方、アメリカは、どうでしょうか。アメリカはコロナ禍からの経済活動の回復が早く、消費が活発になり、そのことによって企業は利益を得て、賃上げにも結びつけました。

いわゆる経済の好循環で金利ゼロという異常事態から脱却したアメリカ。異例の措置を取って低金利にこだわる日本。この間には、当然、投資家の信用の差が出てしまいます。

円を売ってドルを買う動きが急速に強まり、円安ドル高となりました。

■円安は悪い? 日本経済への影響

円安がこのまま進むと、日本経済にはどのような影響があるのでしょうか? 鈴木財務大臣は先月29日の閣議後記者会見で、「悪い円安にならないように政府としてもしっかりと注視していく」と警戒感を示しています。

みずほ証券のチーフエコノミスト・小林俊介氏は、「円安は輸出企業や海外資産を持つ一部の富裕層には恩恵を与える一方で、輸入企業や一般の家庭にとっては打撃になるとされる。だからこそ、円安で恩恵を得た大企業は賃金などで還元する仕組みをつくることが重要だ」と警鐘を鳴らします。

このまま悪い物価上昇の悪循環に陥らないようにするための対策を打つことができるのか? 政府・日銀の手腕が問われています。

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