特産品を使った“名物料理”で町おこし 白桃使った「岡山カレー」に新潟は「しっとりチャーハン」
地元の特産品を使った名物料理を開発し、観光の目玉にしようとする自治体が増えています。背景には地元経済の活性化がありました。岡山市では白桃を使った「岡山カレー」で、新潟では逆転の発想の“炒飯”で町おこしを進めていました。
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岡山市が名物料理での町おこしに選んだのは、大人から子供まで人気のカレーです。その特徴は調味料にありました。
トロ函六曜 三宅邦夫店主
「これはチャツネ、白桃から作った調味料」
リンゴやハチミツを隠し味に入れることもあるカレーですが、この岡山の特産の白桃を隠し味に使ったのが、その名も「岡山カレー」です。
トロ函六曜 三宅邦夫店主
「甘いですね。口当たりいいですよ」
岡山では、このカレーを観光の目玉にする計画を立てています。今では約50店舗に広がり、このカレーで町おこしを目指しています。その勢いは店にとどまりません。街には、屋根にカレーソースポットのオブジェを取り付け、カレーのモチーフのラッピングがほどこされたタクシーが走っていました。
運転手の人も――
――ご自身的にもカレー好きなんですか
岡山交通 太田昌希さん
「大好きですね」
タクシーも町おこしのためひた走っていました。
桃を組み合わせたのは、ある事情がありました。
OKAYAMAまちおこし隊 松野理絵さん
「岡山は贈答用の白桃が多い。贈答用が多いっていうことは廃棄される桃もとても多いので、そこに着目して、農家さんが昔から楽しんでいる白桃チャツネを使ったグルメということで『岡山カレー』を売り出している」
廃棄される桃をできるだけなくそうと、誰でも気軽に楽しめるカレーと掛け合わせて、2年前からスタートしました。
OKAYAMAまちおこし隊 松野理絵さん
「約10年かけて、『岡山といえばカレーだよね』っていう街になればいいなと思っています」
「くだものの王国」の強みで新たなグルメの聖地化を目指しています。
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特産品の強みをいかす取り組みは、“米どころ”新潟でも行われていました。
新潟県上越市にある飲食店「食堂ニューミサ」を訪ねると――
お客さん
「新潟って昔からこんな感じですよね。パラパラじゃなくて、ちょっとしっとり系の」
新潟県上越市の飲食店でお客さんが食べていたのは、その名も「しっとり炒飯」。お客さんのいう通り、あえてしっとりとした炒飯を提供しているのです。その理由は――
食堂ニューミサ 上田幸子さん
「地元の上越妙高産のコシヒカリを使って炒飯を仕上げているんですけど、それが私たちにとっては普通のこと。本当に水分がすごくあるしっとりとした、まさしくしっとりとしたお米なので」
上越市の地元のお米の魅力を最大限引き出したのが「しっとり炒飯」です。
地元の商工会は――
2代目しっとり炒飯認定員 金子裕さん
「新潟県産のお米を使って炒飯を作る。『しっとり炒飯』で町おこししたいなという思いで始まった企画」
コロナ禍で元気をなくした飲食店を応援するため、2年前からスタートしました。今や『しっとり炒飯』を出すお店は、16店舗まで広がっているといいます。
あえて“しっとり”を押し出す逆転の発想です。
食堂ニューミサ 上田幸子さん
「地元のお米を使い続けて、地元の材料を使い続けて、こういった古いお店がそのままの味を残しつつ、新しい地元の企画で盛り上げてもらって」
特産品の強みをいかした町おこしは、これからも続きます。