「日本企業のM&A」成功の鍵は力ある人材
世の中で議論を呼んでいる話題について、ゲストに意見を聞く「opinions」。今回の話題は「日本企業のM&A 動向は活発」。起業家でありながら投資会社も運営している麻生要一氏に話を聞いた。
M&A調査会社が発表した今年1月から9月の日本企業のM&A(合併と買収)の件数は2749件、前の年の同じ時期と比べて28.3%増加した。そのうち、ベンチャー企業へのM&Aは926件で58%増加、全体の3分の1を占めている。
――麻生さん、ベンチャー企業への合併や買収が多くなっているのは、なぜでしょうか?
僕の周りでも日本企業のM&Aの話が増えているので、実感値としても増えているんだろうなと思います。
リーマンショック以降、不景気で未来に対する投資ができなかった日本企業が、昨今の最高益を更新していくなかでその利益が流れていっているんだろうと思います。
――ここでフリップをお願いします。
これから、さらに増えていくであろう日本企業のベンチャー企業へのM&A、これを成功させるためには…「昨日までサラリーマンだったけど…」とフリップには書きました。
買収をした後、その企業やテクノロジーを自社の事業の成長に結びつけられるかどうか、大企業内部の人材がいるのかどうかがすごく大きな鍵になってくると思います。
昨日までサラリーマンだったような人が「買った会社のマネジメントをしろ、明日からいけ」といわれてもマネジメントできるものではありません。いかに買った会社をマネジメントできるような力強い事業家や社内起業家を大企業のなかでつくれるかが大きなポイントになってくると思います。
――“つくれるか”という言葉がありましたが、今の日本の大企業にはそういう人材がいないのではということなのでしょうか。
そうですね。新規事業をもっとやればいいと思います。買った会社の百戦錬磨の経営陣の方と渡り合うには、サラリーマンといえど、いわれた仕事をこなすだけではなくて自ら仕掛けて商売をつくりだし、事業をやった経験がある人の数が必要となってくると思います。
企業のなかの仕事でいうと、新規事業開発とか事業開発といわれる領域ですね。このあたりにかかわりのある人を増やすべきだと思います。大企業の内部で働いている方も積極的に自分の会社に事業を提案するような活動が増えていくといいなと思います。
――それは採用の段階で考えるべきということでしょうか。
そうですね。採用の段階で事業をつくりたいというような人を増やすということも重要ですが、採用した人に事業をやらせるような場作りをすること、そして働く一人一人が自分の会社に対して、また上司に対して、新しい事業を積極的に提案していくということ、この全てが重要だと思います。
【the SOCIAL opinionsより】