大手×ベンチャー、陥りやすいワナとは?
世の中で議論を呼んでいる話題について、意見を聞く「opinions」。今回の話題は「日本オープンイノベーション大賞」。三井不動産でオープンイノベーションを推進する光村圭一郎氏に聞いた。
「オープンイノベーション」とは、様々な組織が自前主義ではなく、外部との連携によって知識・技術の結集を図り、新たなビジネスを生み出すこと。内閣府は、オープンイノベーションをさらに推進するために、今年から「日本オープンイノベーション大賞」を新たに実施し、最も優れたものを内閣総理大臣賞として表彰する。
第1回日本オープンイノベーション大賞の募集締切は26日までで、大賞の発表は来年2月を予定している。オープンイノベーションについて、ネット上では「カギは経営者の覚悟」「企業が戦略として推し進めると強い」「オープンイノベーションは世界の潮流」という意見があった。
――光村さんの意見はどうでしょうか。フリップをお願いします。
『「フェア」の精神』と書かせてもらいました。オープンイノベーションでよくあるのは、大手企業とベンチャー企業がセットになって、進めていくという話があります。大手企業は自前主義が根強くて、なかなか外部の人と付き合う時に、慣れていないケースが多いんです。
特にベンチャー企業みたいに、駆け出しの小さい会社ということになってくると、大手企業から見ると“業者さん”みたいに扱ってしまったりとか、場合によってそこで出た利益を大手企業が独占したくなってしまうというような――慣れていない人たちがやると、そういう傾向も見えたりします。そこをやはり上下関係とかでなく、フェアな対等な精神で付き合っていくことが大事だといつも思っています。
――さきほどのネット上の声でも「カギは経営者の覚悟」というのがありましたが、やはりこれは…
非常に大事ですね。やはりトップの人たちが本気でやるんだと思うから、現場もついてくるという話だと思います。やはり新規事業やイノベーションを起こそうとすると、どうしても「本当にそれできるのかな」とか、それが今までの仕事のやり方を変えることになったりすることもあります。そういうのを怖がらずに進んでいかなきゃいけないというのは、やはりトップのメッセージとしてしっかり出していかないと、なかなか現場はついてこないかなというのはあります。
――一方でベンチャー企業側の課題や心構えみたいなものはありますか。
一方でベンチャー企業のほうも、大手企業とカルチャーが違う人たちという中で、ベンチャー企業の事情や都合というのもあるんですが、ある程度、大手企業と組むときには、相手のやり方も理解しながらやっていかないと、結局はケンカ別れになってしまうことになるので、そこのすり合わせの工夫、やり方というのはもっと向上していくべきだと思います。
――企業のスピード感やカルチャーというのも…
だいぶ違いますよね。どうしても大手企業が時間がかかってしまう部分はあります。なるべく早くすべきなんですが、やっぱり一方でかかるものはかかるんですという話もあって、そこをうまくすり合わせていくような存在が必要かなと。それを僕らは、「イントラプレナー」と言っていて、企業の中で起業家的に立ち回る人たちを指すのですが、そういう人たちが入ってくるとうまく機能するのかなと思います。
■光村圭一郎氏(39)プロフィル
三井不動産でオープンイノベーションを推進。雑誌「FRIDAY」の編集者を経て、2007年、三井不動産に入社。今年3月に開業した東京ミッドタウン日比谷にある施設「BASE Q」の責任者として、大手企業とベンチャー企業の橋渡しを行っている。
【the SOCIAL opinionsより】