江の島で世界一楽しいゴミ拾い 海さくら2
NPO法人「海さくら」の古澤純一郎理事長に聞く「飛躍のアルゴリズム」。1つ目のキーワードは、「楽しく、ファンキーに!目指せ!世界一楽しいゴミ拾い」。楽しくゴミ拾いするための工夫を聞いた。
■楽しくゴミ拾いを!
――私も災害ボランティアの経験があるのですが、初めてのときは、ボランティアに行くまでが緊張でした。ハードルが高く思いました。「海さくら」さんは手ぶらでOKですし、ホームページもしっかりしていて、とても参加しやすいなと感じました。その取り組みのひとつとして、色々なコスチュームで取り組まれているということですよね。
そうですね、このモニターの写真は、年に1回の海の日のゴミ拾いです。海の日というのは海の恩恵に感謝をする日なんですが、なかなか知れ渡っていません。私たちみたいに海の環境を良くしたいということを伝えるのはなかなか難しいです。
しかし海の日というのは国が決めた日なので、こういう“ブルーサンタ”といった青いサンタクロースの格好をしてゴミ拾いをしています。
――参加している方も笑顔で、楽しそうなイベントという感じですね。そしてボランティアというのは継続も大切だと思うのですが、続けられるように楽しくすることも工夫されているんですよね。
そうですね。続けるというよりは、いま海のゴミの7~8割は街からやってくるものですから、街の人に海に来てもらいたいですね。そして実際に拾って感じてもらいたいです。とにかく、楽しいことをやれば、みんなが海に来てくれます。そしてその現状を知ってもらいたいので、楽しさというのをまずつくりました。そして継続する上でも、楽しさというのは大事だと思っています。
――ゴミを拾うトングを持参しなくてもいいということですが、どんなものを使っているのですか。
カラフルなブルーのトングを使っています。また毎回、季節ごとにごみの種類も違いますし、たくさんの人に来てもらいたいのでポイントカードというか、朝のラジオ体操などで使うようなものなんですが、スタンプを押して12個たまるとゴミ拾いの達人Tシャツがもらえます。最終的には、5年頑張るとブラックトングがもらえるなど、そういうこともやっています。
――この楽しさにこだわっているのは、どういった思いからなんでしょうか?
繰り返しになってしまいますが本当に心の変化といいますか、自分でゴミを拾ったり、その現場に行くということが何か自分自身もそうですし、参加者の声を聞いてもそうなんですが、来てもらいたいから“楽しく”にこだわっています。
――工夫しているうちにどんどん協力者も増えてきたということですか。
海と日本プロジェクトの日本財団さんとか色々な企業さんとかですね、後はたくさんの参加者の方々と一緒にやっている感じです。
――色々な方々と一緒のイベントがあると聞いたのですが。
現役のお相撲さんと一緒にゴミを拾って、きれいになったビーチで子どもたちがお相撲さんと対決ができるんです。浜に線を引いただけの土俵なんですが。
また、街から海にゴミがやってくることを街の人に伝えたいので、湘南ベルマーレさんとか、Jリーグのサッカーチームのスタジアムの大型看板のところで海にゴミが行ってしまうことを伝えて、試合終了後にスタジアムの周りのゴミ拾いをしております。
今、Jリーグで9チーム、プロ野球が1チーム、バスケットのBリーグで1チームの合計11チームでやっています。
■危険なゴミであるクギをなくす
――ゴミ拾い以外にも、ゴミをなくすということも大事ですよね。
ゴミの中でも、特に危ないのがクギです。それは海の家を建設する時や解体後に出てきてしまいます。そのクギを回収するということをやっていたのですが、それならば、そもそもクギを使わない海の家をつくろうということで日本財団さんと一緒にやりました。
この写真はクギを1本も使っていない海の家なのですが、ラーメンとかを食べる海の家ではなく、ライフセーバーさんなど海を守る人たちの小屋として設置してあります。これが建つことで、東浜の色々な海の家が自発的に海をきれいにしようと考えてくれるきっかけとなりました。