商品名「上司の話は聞きたくない」狙いは?
「上司の話は聞きたくない」、これ実は、メロンパンの商品名。ユニークな名前で人気となっている。聞いただけではパンだと分からないネーミングにしたのには、店側のある狙いがあった。
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都内を中心にメロンパンの移動販売を行うお店「HAPPyHAPPy」。
店員「定番は『死んでも地獄におちない』」
客「『死んでも地獄におちない』っていうの?」
店員「ホイップ食べて天国行って、カスタード食べて天国行くから、地獄落ちないなーと」
客と店員との間でかわされるユニークなやりとり。購入時についつい笑顔がこぼれてしまうそのワケは――
客「ネーミングセンスが独特だったのでちょっと気になって買っちゃいました」
その独特だという商品名が「上司の話は聞きたくない」。そして「死んでも地獄におちない」。さらに「marry me!!!」など、メロンパンにユニークなネーミングがつけられていた。
去年の10月から商品名を変えたというこちらの店。
HAPPyHAPPy・大槻淳子さん「一応ショーケースの中をイメージしているのは『中年の男性』をイメージしてつけています」
帰宅するサラリーマンに刺さるようネーミングを考案したところ、そのユニークさが受け、幅広い世代にいま人気となっているという。
「死んでも地獄におちない」を購入した女性「もう年とってるから死んでも地獄に落ちないように」
1日に600個も売れる人気ぶり。こうしたユニークなネーミングで人気となったパン店は東京・清瀬市にも。午前10時のオープン前に50人ほどの行列ができていたこちらのお店。
2時間並ぶ先頭の男性「1週間に最低3回は来てますね」
行列に並ぶ女性「1度ぐらい食べてみようかなと思って」
朝から並んでも食べたいというのがこちらの食パン。こだわり抜いた小麦やバターのほのかな甘さに加え、口の中に入れるととろけるという食感。あえてトーストせずにシンプルに食べるのがオススメだという。1日で500斤ほども売れるというこの食パン。
大舘誠代表取締役「まさかここまで反響があるとは思わなかったですけど」
その反響とは、実は食パンにつけたネーミングではなく、「考えた人すごいわ」という食パン専門店らしからぬ店名。
客も――
客「何屋さんか分からないっていう」
しかし、この何屋か分からない店名がかえって話題にもなり、いまでは行列が絶えないという。
「考えた人すごいわ」大舘誠代表取締役「試作をする中で本当においしいパンができたんです。食べたときに『考えた人すごいわ』って言葉が出てきまして」
いまパンの業界で増加しているというユニークなネーミング。背景には何があるのだろうか?
消費動向に詳しい野村総合研究所・倉林貴之パートナー「(パン業界は)あらゆる種類のモノが市場に出尽くしてしまっているという環境」
パンブームもあり市場は飽和状態。そのため――
倉林パートナー「より感情に訴えかけるようなネーミングであったりとか、機能の訴え方が重要になってきている」
そして、SNS時代のいまユニークなネーミングは注目されやすいという。
倉林パートナー「画像だとやっぱり検索性に欠ける。検索キーワードに引っかかってくるという意味では、ハッシュタグとか文字情報として外に出していく(発信していく)ことが重要なんだと思います」
あの食パン専門店もやはり――
「考えた人すごいわ」大舘代表取締役「(お客さんは)SNSであったり口コミがやっぱり多いですね」
広がりを見せる“ユニークなネーミング戦略”。大手コンビニでも、2週間前に発売されたのはその名も「悪魔のパン」(150円・税込み)。もちもち食感のピザ生地に和風のダシソース、天かす、マヨネーズなどがトッピングされているという。発売以降、ローソンのパンカテゴリーでは売り上げ1位を記録するほどの人気ぶり。
ローソン広報・榎本章さん「ネーミングのインパクト。SNSで非常に拡散されまして、広がって火がついて人気商品に」
ネーミングで話題性が高まることから、今後も新商品を出すことも考えているという。
「ユニークなネーミング」で人気を集める戦略。今後、どこまで広がりを見せるのだろうか?