給食の主食「パン」が激減 その理由は…
かつては、給食の主食といえば「パン」という時代があったが、今、そのパン給食がどんどん減っている。子どもたちからは、「たまにはパンを食べたい」との声も。いったい、なぜなのか。
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長野県飯田市にある小学校。4時間目が終わり、待ちに待った給食の時間。
「いただきます」
楽しそうにご飯を食べる子どもたち。この日の献立は、ごはんに豚肉の揚げ物や豆乳のポタージュなど。なかには、おかわりする児童もいて、ご飯はあっという間になくなっていた。
「Q.給食のご飯好き?」
児童「好きっちゃ、好き」
その一方で、パンの給食は…
「Q.パンは、どのくらい出る?」
児童「パンは1学期に1回くらい。昔は結構パンは出てたけど」
この小学校の今月の献立をみると、主食はそのほとんどがご飯で、週に1日、麺の日があるものの、パンはない。
児童「たまにはパン食べたいけど…」
◆給食にパンが出ない現象は他の地域でも…
茨城県水戸市にある工場。次から次へとパンが焼き上がっていく。実はこれは、学校の給食用に作られたパンだ。
水戸市内にある小学校では、地元のパン工場で作られたパンが週に1回程度給食に出るという。
児童「パンは好き。おいしいから」
この工場では、1日に7000から8000食の給食用のパンを作っているという。
安蔵パン・村澤秀聡社長「私どものエリアで持っている水戸市は、まだ週1回から2回、まだいい方なんですけど、県の南部とか北部などは、月に1回とか2回とか、そういうふうに激減している地域がありまして」
茨城県でも、給食に出るパンの回数が減っているという。
◆なぜ、給食のパンが減っているのか?
農林水産省では、2016年度から都道府県の自治体に和食給食に補助金を出すなど和食給食を推進。こうした影響もあってか、給食にパンが出る回数が減少しているという。
◆さらにこんな影響も…
安蔵パン・村澤秀聡社長「どんどん、どんどん、パン屋さんが減少、やめていく中で、そのやめた店のエリアをカバーするために、どんどん、どんどん遠方にやっていってしまう」
この業者では、水戸市の他に隣町の城里町(しろさとまち)の学校だけでなく、少し離れた日立市の学校にも、パンの業者が廃業になったため、パンを届けているという。
◆なぜ廃業に追い込まれたのか?
日立市にあるパンの製造業者の工場内には、今もパンづくりに使用していた窯などがそのままの状態で残されていた。
キムラヤ・平子允秀さん「こんな感じ、しばらく使ってないからね」
多い時だと、ほぼ毎日作っていたという給食用のパン。しかし、その数は徐々に減少し、設備投資の費用もまかなえなくなっていったという。
キムラヤ・平子允秀さん「パン一食で5円にはならないと思うんだけど、そういう加工賃で我々は運営しているんですよ。パン給食が週に1回とかなっちゃうと、利益がそれに追いつかなくなっちゃう」
パンを作る数が減ったことだけでなく、後継者がいないこともあって、今年の4月に廃業したと話した。
全日本パン協同組合連合会によると、給食のパンをつくる業者は昭和20年代から40年代には6000社ほどあったが、現在では1300社を切るほど減少しているという。
長野県飯田市にある小学校でパンが減ったのも、業者の相次ぐ廃業が要因だという。
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子どもたちにとって楽しみな時間ともいえる給食。今後、“パン離れ”はさらに進んでしまうのか。