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養殖サバのエサに○○ 脂のり臭み減る

2019年3月6日 20:35
養殖サバのエサに○○ 脂のり臭み減る

いま各地で、ある意外なものをエサに混ぜたサバの養殖が進められている。このサバ、生臭さが減り、脂のノリもよくなるという。出荷量も順調にのびているというこの養殖方法。何を与えているのだろうか?

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さばいたばかりの新鮮なサバ。福井県小浜市の民宿で食べられるサバの刺し身。実は一風変わったサバを使っているという。

小浜よっぱらいサバグループ、網元の民宿浜乃家・浜家直澄さん「『よっぱらいサバ』を使った刺し身です」

サバが「酔っぱらい」?、一体どういうことなのだろうか?

いただいてみると、生臭さなどは一切なく、サバのうま味と甘みがギュッと詰まっている。

養殖なのに臭みが少ないというこのサバ、どうやって育てられているのだろうか?

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養殖場を訪ねてみると、サバに与えるエサに何か粉を混ぜている。

小浜よっぱらいサバグループ、網元の民宿浜乃家・浜家直澄さん「これは酒かすですね。酒かすをですね、細かく粉にした。(見た目は)きな粉みたいな感じですね」

エサに混ぜられていたのは「酒かす」。5キロのエサに250グラム、5パーセントほど混ぜるという。

出荷する2か月ほど前から酒かす入りのエサを与えているため「よっぱらいサバ」と名付けられている。

なぜ、酒かす入りのエサを与えているのだろうか?

小浜よっぱらいサバグループ、網元の民宿浜乃家・浜家直澄さん「サバの臭みとか、みなさんよく言いますけどね、そういうのは全然ないですね。それからやはり甘みですか、少し甘くなる」

生臭さが減り、脂のりもよくなるという。

3年前から始め、出荷量は15倍にも伸びているという「よっぱらいサバ」。(2016年度:500匹 昨年度:7500匹)

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酒かすをサバのエサに混ぜる方法は、こんなところからも注目されている。

三方を海に囲まれた山口県。早朝から米を蒸し上げていたのは萩市の酒蔵。日本酒「東洋美人」の仕込みが行われていた。

澄川酒造場・澄川宜史社長「生産数が増えることによって、酒かすも増えてきますね」

山口県酒造組合によると、県内の日本酒の出荷量は日本酒人気の高まりから年々増え続けていて、10年前と比べるとおよそ4倍に。この酒蔵でも生産量が増え、年間6万キロの酒かすが出るという。

澄川酒造場・澄川宜史社長「酒かすもどんどん増えてきたので、(その処理に)頭を悩ませている」

今は焼酎造りなどに活用することで消費できているというが、これ以上量が増えると廃棄せざるを得なくなるかもしれないという。

澄川酒造場・澄川宜史社長「(酒かすを)有効に活用できるものがあれば協力させていただきたい」

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期待もある中、県の研究センターでは、魚の粉と酒かすを混ぜたエサでサバを養殖する試みを来年度から本格的に開始。ブランド化に向けた取り組みを始めるという。

山口県水産研究センター専門研究員・白木信彦さん「やまぐちほろ酔いシリーズって感じですね」

ブランド化には、酒かすを有効活用できる他、こんなメリットもある。

山口県水産研究センター専門研究員・白木信彦さん「小さいサバなんかは値にならなくて、魚のエサ用にまわったり」

県内でたくさんとれるという商品価値の低い小さなサバも、酒かす入りのエサで育ててブランド化することで価値を高められるという。

養殖費の7割を占めるというエサ代をおさえることもできる酒かすを使った養殖。県では今後、アユやフグなど他の魚にも広げていければとしている。