大手ネット証券初の女性社長の素顔とは 3
マネックス証券社長の清明祐子さんに聞く「飛躍のアルゴリズム」。3つ目のキーワードは「会議室での打ち合わせ中に『ちょっと、○○やらない?』」。何をやらないかといわれたのか、清明祐子さんに聞いた。
■その日の夜は眠れなかった
――「会議室での打ち合わせ中に『ちょっと、○○やらない?』」ということですが、何をやらないといわれたのでしょうか。
ちょっと「社長やらない」といわれました。その瞬間は、何をいっているんだろうという感じでした。そして自分に証券会社の社長ができるとも思いませんので、すぐには答えられず「いやいや無理ですよ」という反応をしました。
――その言葉を話された方が、創業者の前社長である松本大さんですよね。席が隣だということですが…
私ども個室がなくて、松本も含めてみんな平場に机を並べていて私は松本の隣で働いています。
――そのときの様子はどうでしたか。
何も普段と変わることがなく、ミーティングをしている中での状況でしたので、まさかという感じでした。
そのときは答えられず、自分には恐れ多いですしできないというふうに思っていました。家に持ち帰って、初めてといっていいくらいその日の夜は眠れず色々考えました。
考えた結果、私はマネックスグループという持ち株会社の企画全般も担当しておりまして、グループ全体を今後どうやって成長させていくのかということをよく松本と話しておりました。
そんな中で自分の位置を客観的に見たところ、ここで自分が頑張らないといけないなと思いまして、翌日にお引き受けして頑張りますと申し上げました。
――松本さんは清明さんのどこを見て、社長就任の依頼をされたと思いますか。
どこなんでしょうね。松本とはよく一緒に仕事をしていて、社員と一緒につくり上げていくとか、一緒に頑張ろうというようなことをやってきていたのですが…すいません、ちょっとそこは聞いていないのでわからないです。
――プレッシャーはありませんでしたか?
プレッシャーはもちろんあります。今も感じています。
――就任して2か月ほどになりますが、就任した当時とはだいぶ、心構えなどは変わってきましたか。
全然違います。覚悟は「お受けします」というときにできていたのですが、日に日に松本の存在を大きく感じていまして、これまで築き上げているものを崩さずに、バトンをうまく受け取って、次にどうやってバトンつなげるのかということを毎日考えています。
■社長をやっていくうえで大事なこと
――社長をやっていくのに大事なことは何だと思いますか。
常に満足をせずに、常に改善していけるところを考えるということです。あとは、お客様と社員とのコミュニケーションをきちんととり、よりよい方向にもっていこうとする心構えかなとは思っています。しかし、その答えはまだわかっていません。
――女性だから、あるいは日本の平均からすると、とても若い社長ですので、それで大変だと感じることはありますか。
当社は、女性だからということをあまり感じずに働くことができる環境が、これまでもありましたので、それを感じることはあまりないです。
――財界とかで、社長さん同士のお付き合いになると、みなさんは黒いスーツでという場が多いと思うのですがいかがでしょうか。
これまでもずっとそういう世界で生きていまして、銀行のときもそうですし、マネックス・ハンブレクトのときもそうで、基本的に周りに男性しかいない状態でした。
ただ、自分の姿というのはそういうときは見えないので、もし見てしまうと「浮いてる」と思うかもしれませんが、見えないので私もその中のひとりという感じでした。