家具「売り切り型から循環型へ」変化
世の中で議論を呼んでいる話題について、ゲストに意見を聞く「opinions」。今回の話題は「家具 売り上げ増加も大手と中小で格差」。株式会社クラスの代表・久保裕丈氏に話を聞いた。
帝国データバンクの調査によると、家具の小売り業者の2017年度の売上高合計は1兆2297億500万円で、前の年度と比べて3.9%増加、売り上げの伸びが続いている。
全体では増収なものの、売上高100億円以上の大手8社で全体売り上げの62.1%を占め、大手と中小の格差が大きくなっている。
ネット上では…
買わなくても家具屋見るのは楽しい
安い家具は組み立て式で作るのが大変
家具の廃棄は大変だから買い替えはためらう
などの意見があった。
――この話題について久保さんにフリップを書いていただきました。
「売り切り型から循環型へ」です。
まさに、弊社はサブスクリプションという循環型の家具屋さんをやっています。先ほど、売り上げ上位の企業のシェアがどんどん上がっているということでしたが、まさに淘汰(とうた)が家具業界で進んでいます。
もうひとつは寡占化が進んでいて、大手がどんどん成長しているんですが、実は裏側の利益構造、どの家具屋さんも売り上げに苦しんでいるという状況です。
これはなぜかというと、当然、物流費の高騰という問題もありますし、それに加えてが組み立ては大変、廃棄は大変みたいなユーザーが抱えている課題を解決していくためには、どうしても投資やコストというのが企業側に発生してしまうんです。そうなると、なおさら利益構造というのが厳しくなってくる。これが家具業界の現状だと思っています。
それで、我々は例えばニトリさんとかIKEAさんみたいに家具を1回売って、それでいらなくなったら捨てるというカタチ“売り切り型”と呼ばせていただいているのですが、なかなかいま、この“売り切り型”の家具屋さんのビジネスモデルに限界が来ているのではなかろうかというふうに思っています。
そこで我々のような“循環型”、サブスクリプションで必要なときに必要な物を使って返していただいて、また次に必要な方にお届けするというこのビジネスモデルであれば、長い軸で見れば実は利益構造も良くて、なおかつ、お客様の課題も解決できます。ある意味パラダイムシフトというものが家具業界でも求められているのではないかと考えています。
――そうですね。人々のマインドも変わってきましたもんね。
おっしゃるとおりで、皆さまもう物を持たない、保有しないで利用するという事に対する抵抗感がどんどんなくなっていて、弊社もお客さんがどんどん多くなっています。マインドセットの変化というのはすごく感じています。
■久保裕丈氏プロフィル
久保さんは、家具やインテリア、家電を定額制で利用できるサブスクリプションサービスを運営している。家具はリペアできる素材を使って、自社で製造。利用者が変わるごとに新品同様に復元することができる。久保さんは大学卒業後、外資系コンサルティングファームを経てファッション通販サイトを立ち上げ、2015年に事業売却した後、2018年に現在の会社を創業した。使わなくなった家具を捨てるのではなく、質の良いものを長く使い続ける社会の実現を目指している。
【the SOCIAL opinionsより】