人気の「獺祭」 約26万本自主回収のワケ
世界にも広がる「日本酒ブーム」。そのけん引役にもなった山口県の酒「獺祭」が約26万本の自主回収を発表した。大人気の日本酒だけあって、影響は全国に広がっている。
◇
東京・銀座にある日本酒専門店、その名も「獺祭ストア」。山口県の「旭酒造」の直営店で、棚にはさまざまな種類の「獺祭」がズラリ。海外でも人気があるという純米大吟醸の「獺祭」。
2013年には安倍首相がロシアのプーチン大統領と会談した際、誕生日祝いとしてプレゼント。1本約3万円する特別な「獺祭」は話題となった。
約15年前から海外進出を始め、今では20か国以上で販売されているという。しかし、この「獺祭」をめぐってある騒動が。店の裏の倉庫に案内してもらうと――
営業部顧問・木下容明さん「こちら今回の(回収)対象の日付になっています」
先月、出荷されたこの商品。アルコール度数がラベルに表示されている16%とは異なる可能性があることが分かり、急きょ取引先から回収されたという。
木下さん「銀座店に関しては今60本くらい(回収)対象」
自主回収の対象は「獺祭 純米大吟醸磨き三割九分」「獺祭 純米大吟醸45」「等外」「等外23」の4つの銘柄で、今年4月から8月にかけ、全国で販売された約26万本。なぜ、自主回収を発表したのだろうか。
旭酒造によると、これらの製品は通常、アルコール度数17%前後の原酒に水を加え、16%に調整して出荷している。しかし担当者がかき混ぜる作業を怠ったため、17%のものと12%程度のものが混在し、そのまま出荷していたという。
木下さん「合計で6億円近い回収対象となっています」
アルコール度数の違いによる健康被害はなく、今のところ客からの申し出もないという。
一方、一般の小売店では、どのような影響が出ているのだろうか。獺祭の棚の一部に大きなスペースが…。
9日夜、メールで自主回収の連絡が入り、10日に対象製品を棚から外したという。
sho-Chu AUTHORITY・稲嶺つばささん「(獺祭は)うちの店でも1、2を争う(人気商品)、(欠品になると)売り上げ的には痛手になるし来店されたお客様に申し訳ない」
旭酒造は9日、国税庁に報告。ホームページに対象製品とロット番号を掲載したり、販売店に回収を依頼したりして、自主回収を進めている。旭酒造は「品質管理を徹底し、再発防止に努めてまいります」とコメントしている。