秋も「値上げの波」どう乗り切るか…食品の値上げ“ピークアウト”へ?【バンキシャ!】
10月、また食品が値上がり。2022年春頃から“値上げラッシュ”といわれて1年半以上、さらに長引く影響で街の人からはさまざまな苦労の声が上がる一方、食品の値上げは近いうちにピークアウトするという見方も…【バンキシャ!】
30日、バンキシャ!は、都内のディスカウントストアへ。MEGAドン・キホーテ大森山王店(東京・大田区)で、賑わっていたのは、酒類の販売コーナーだ。
バンキシャ
「4ケースですね!ショッピングカートに積み込んでますね」
1日から酒税が改正され、ビールにかかる税金は安くなり、「第3のビール」は1缶およそ9円値上げされる。店内は、駆け込みの購入客であふれていた。「第3のビール」を2ケース購入した夫婦に話を聞いた。
購入客の夫
「安かったビールがちょっと上がってきちゃうと、給料・小遣いも安いのに…つらいですね、サラリーマンは」
バンキシャ
「お小遣いは…」
購入客の夫
「まあ…そうですね…減ってきました」
(帝国データバンクによると)1日から、1.5Lから2Lの家庭用大型ペットボトル飲料など、食品4600品目以上が値上がりする。
29日、街(東京・吉祥寺)でも、苦労の声が上がった。
母親(24)、息子(4か月)
「日々ずっと節約を考えている感じで、最初はピリピリしてたと思うんですけど、もう慣れてきちゃって」
母親(36)、娘(5)
「ちょっとまひしてきて…何でも高いからしょうがないか」
2022年春頃から値上げが続き、実に1年半以上。ただ、この長引く値上げは10月で“ピークアウト”するのでは?という分析も。(みずほリサーチ&テクノロジーズ 酒井才介主席エコノミストによる)
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29日、東京・府中市の中学校を訪ねると…
後呂キャスター
「いま給食がちょうど配膳されているところです」
この日の献立は「中秋の名月」にちなんで親子丼、月見汁、そして、みたらし団子。府中市では、長引く値上げによる家計の負担軽減策として、10月から来年3月まで、公立小中学校の給食費(1人あたり)およそ4000円を無償にする。
――(無償化について)保護者はどう感じているのか?
中学2年の息子、小学4年の娘を育てる母親(41)
「すごくありがたい。結構、教育費かかっていて(2人で)8000円となると、だいたい1人分の習い事の1か月分になるので」と話した。
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30日、家計の負担を少しでも減らそうとする人たちが「ある場所」に集まっていた。
千葉・市原市にある青果店「青果販売 光泰」で、人々のお目当ては…
バンキシャ
「開店10分前ですが、けっこう並んでいますね。野菜の詰め放題と書かれています」
店内には傷がついたり、色あせるなどした“訳あり”の野菜や果物、20種類以上が並んでいた。商品の値札を見てみると、キャベツ半玉128円。トマトは1個198円。長いも298円、さらに…、巨峰598円。
300円で、この袋(店のスタッフが手渡すレジ袋)に詰め放題だ。そして午前10時――開店と同時に客がなだれ込み、店内はあっという間に埋め尽くされた。
バンキシャ
「いま、開店しました。みなさん、さっそく袋の中に詰めていきます。どんどん詰めてく、どんどん詰めてく、どんどん詰めていきます。どんどん詰めてく、すごい勢いでみなさん(商品を)詰めていきます」
子
「はい。ママ」
母親
「ありがとう、ありがとう。待って待って待って、トマトつぶれちゃう、ジャガイモ持っていて…トマトが~」
中には袋に収まっていない人も…
バンキシャ
「これOKですか?」
スタッフ
「全然OKです」
「乗っかっていればOK」
バンキシャ!が出会ったのは、ネギや葉物野菜を大量にゲットした、こちらの家族、妻(32)、夫(33)、息子(1)。
夫
「ホウレンソウ、小松菜、ホウレンソウ、小松菜、白菜、ブドウ…」
1房598円のブドウなど、10個以上の野菜・果物を詰め込んでいたが、全部を普通に買ったら、いくらぐらいだろうか?
妻
「たぶん1000円…」
夫
「いや、もっと。2000円ぐらいいくんじゃない…?」
実はこの家族は、2022年に一軒家を建てローン返済の真っ最中。そこに、値上げの波が押し寄せ、毎週末、この(店の)詰め放題に通っているという。家をたずねると…
夫
「先週買ったトマト」
野菜は冷凍して保存。今回ゲットした野菜も、1週間で使い切らなければ冷凍して保存するという。こんな節約術も――
夫
「(野菜を)細かくしちゃいます。煮る時間が少なくて済むので、ガス代もちょっと節約」
経済専門家(みずほリサーチ&テクノロジーズ/酒井才介主席エコノミスト)からは、10月で値上げのピークは過ぎるという分析があるため、「(今回の)値上げで食品系はいったんピークアウトするといわれているが…」とバンキシャが伝えると、
夫
「あ、そうなんですね」
妻
「それは初めて知りました。いずれ値段が下がってくれたらいいなという気持ちはあります」と、笑顔を見せた。
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その値上げの“ピークアウト”を目前に、閉店を余儀なくされた店も。
30日、午前7時、東京・築地にある創業53年の“玉子焼”専門店だ。
名物の「玉子焼」を作る、店主・渡辺美奈子さんは、「お店じまいです。きょうで終わりということで。営業が終わるということですね」と、話した。
この2年の間に、卵・油・砂糖・だしなどすべての原材料費が高騰。2021年11月から、2022年10月、2023年6月、9月まで、販売価格を100円値上げし、1つ750円だ。2年ほど前から、取引先の倒産で注文が減少。そこに、原材料費の高騰も重なり、経営が難しくなったという。
取材中、常連客がやってきた。
13年前から通う客
「僕はここの(玉子焼)が、味とか食感、全部含めて一番好きかな。きのう(29日)は妻が買いに来て、きょう(30日)は僕が交代で」と、“最後の日”も3つ購入した。
13年前から通う客
「お疲れさまでした」
渡辺さん
「ありがとうございます」
閉店を惜しむ客はあとを絶たない。
10年来の友人
「お疲れさまでした」
渡辺さん
「ありがとう。ニコニコしちゃった」
「あああ、もう泣く。うれしい。ありがとう」
友人たち
「花を買ってきたの」
渡辺さん
「ありがとう」
友人たち
「お疲れさまでした」
渡辺さん
「いろんな人が買いに来てくれたり、駆けつけてくれた人が多かったので、それにはもう感謝しかない」と“最後の日”に語った。
*10月1日放送『真相報道バンキシャ!』より