「にわかファン」をポジティブにとらえて
世の中で議論を呼んでいる話題について、ゲストに意見をうかがう「opinions」。今回のテーマは「ラグビーW杯は 日本に何をもたらした?」。Blue United Corporation代表の中村武彦氏に話を聞いた。
アジアで初めて開催されたラグビーのワールドカップ日本大会は南アフリカが優勝。44日間にわたる熱戦の幕を閉じた。
今回のワールドカップについて、ネット上では…
「にわかファンだけどラグビー面白い!!」
「日本大会が高評価で終わって素直にうれしい」
「ブームで終わらないよう人気になってほしい」
などの意見があった。
――中村さんのご意見をうかがいます。フリップをお願いします。
「にわかファン=未来のお客様」です。
スポーツビジネスにおいて、そもそも来ていただく、あるいは自分のスポーツに興味を持っていただくというところが一番難しいと思うんですね。興味のないスポーツ観戦はあまり行かないものじゃないですか。それが今回のワールドカップをきっかけに多くの方が来てくださった。
日本に毎月出張で来ているんですが、その都度『にわかファン』という言葉が何かネガティブに聞こえたんですが、スポーツビジネスの観点からいくと非常にポジティブなことです。この『にわかファン』というものが、未来のお客様なのではないかなと僕は思っております。
――ただ、一過性のブームで終わって欲しくないといいますか、そういった皆さんに定着して見続けていただくためには、どうしたらいいのでしょうか?
考えてしまいがちなのは、ラグビーに興味を持つという方が大半ですが、それだけではなく、あそこのスタジアムに行って、そのスタジアムでの雰囲気を味わって楽しかった人もいらっしゃいます。家族、友達と行って楽しかった、もしくはかっこいい選手がいた、みんなと何か応援するの楽しかった、そういった多様なニーズがあるということを、ちゃんと認識した上で提供し続ける。ワールドカップは特殊なんで、これがワールドカップじゃないラグビーの試合においても、皆さんがラグビーの試合に行って楽しかったと言ってもらえるようにきちんと取り組むことができたら、『にわかファン』の皆さんが安定した固定客になると思います。
――中村さんは様々な海外のスポーツをご覧になっていると思うのですが、このアイデアで面白かったとか、日本でも取り入れたら、いいんじゃないかなというものはありますか?
例えばチケットを売るときになかなか買ってもらえないとき、安くしてしまいがちですが、値段を下げずに、付加価値をつけてホットドッグの食べ放題チケットとかそういったものは面白かったりしましたね。
――試合そのものというよりは飲食であったりとか、エンターテインメント、まわりの部分といいますか。
そうですね。サポーターの皆様もいらっしゃいますし、違う目標で重なってしまいますが、違う目標で来ている方も多いので、それぞれ何を求めているのかを理解して、ホットドッグというのは、例えば家族で行くときに楽しいイベントは何かなと考えたときに、そういったものがあったら家族で行ったらいいかもねというきっかけになればいいと思います。
ただ無料チケットを作るのではなくて、逆にどういう付加価値を提供できるかという考え方で楽しんでいただけるか、それが大事なのかなと思います。
――そういう意味では本当にアイデアの宝庫ですかね?
そうですね。正解は一つではなくて、各チーム、各リーグのアイデア次第、面白いアイデアをどんどん出せるチームであると、それだけ数多くのお客様も来てくださるので、おっしゃる通りアイデアの宝庫であればあるほどいいと思います。
――さらにいうと、そのスポーツに携わる方だけではなくて、そうでない全くスポーツとは関係ない方のアイデアなんかも実は必要になってきたりとかしそうですね。
勘違いしがちですが、そのスポーツを好きでなくても、どうやってお客様を楽しませるかを考えられることの方が大事だと思います。
――政府もスポーツを成長産業として位置づけていますし、まだまだ面白い分野となっていきそうですね。
これから日本において大きくなる産業だと思っております。
【the SOCIAL opinionsより】