物価高が鍋料理を直撃 秋田の郷土料理「きりたんぽ鍋」は「比内地鶏」が品薄で…
寒くなりお鍋が恋しくなる季節となりましたが、物価高により食材選びに困っている人も多いかと思います。さらに今、秋田県のブランド鶏「比内地鶏」が手に入りにくくなっているということです。比内地鶏の“一大産地”秋田県大館市の養鶏場を訪ねました。
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暦の上では冬。いよいよお鍋の季節ですが、懐も寒くなりそうな今年の冬。東京・練馬区のスーパー「アキダイ関町本店」では、4分の1カットの白菜が88円、長ネギ1本が68円で販売されていました。価格が比較的落ち着いているため、野菜たっぷりのお鍋がおすすめとのことです。
一方で、飼料代の高騰などの影響を受けたのは卵です。
アキダイ 秋葉弘道社長
「今、高騰しているのが、こちらの卵ですね。(LLサイズで)平年178円。今までにないような価格帯」
このスーパーでは2割以上値上げしていて、おでん、すき焼きは少しお高くつきそうです。物価高で、鍋の食材選びに困る冬。
お客さん
「(スーパーは)3軒4軒回ってきます。きょう、これで3軒目です」
食卓ではやりくりの余地はあるものの、やりくりができず、困っている飲食店がありました。
冬の人気メニュー・秋田の郷土料理「きりたんぽ鍋」の味の決め手は、秋田が誇るブランド鶏「比内地鶏」です。
ひない小町渋谷店 横田和広店長
「赤みが強く弾力があり、うま味が強いのが特徴です」
主役のきりたんぽにも負けない具材としての存在感があり、上品なダシをとるために欠かすことはできません。
ひない小町渋谷店 横田和広店長
「ある部位を10本注文したら、5本しかないとか」
仕入れ値も10%から15%ほど上がっていますが、何より比内地鶏が手に入りにくくなっているのです。
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鍋の季節に、影響はどこまで広がるのでしょうか。比内地鶏の“一大産地”秋田県大館市の養鶏場を訪ねました。立派に育った比内地鶏がいましたが、これは数少ない“生き残り“でした。
比内地鶏生産者 高松司さん
「(水が来たのは)30センチ膝下。大雨の日には入れなくて、ちょっと水少なくなった時にのぞいてみたけど、鳴き声がなかった感じ」
今年8月に秋田県を襲った豪雨で、高松さんの養鶏場では3000羽いた比内地鶏のうち、2200羽が濁流に流されるなどして、死にました。そこに追い打ちをかけるように、飼育コストの大半を占めるエサ代が円安などの影響で高騰しました。
比内地鶏生産者 高松司さん
「ひよこ代・エサ代を投資して育てているので、結構、借金はたまってきています」
ヒナが商品になるまでには5か月近くかかるため、年内はほとんど収入が見込めず、借金を返すだけで精一杯だということです。
秋田県によると、合計1万7000万羽近くが死んでいて、この冬は比内地鶏が品薄の状況が続く見込みだということです。