“夏のスタミナ食”ウナギがピンチ…備長炭が値上げで 焼き鳥店も困惑
24日は土用の丑の日ですが、うなぎをおいしく焼くのに欠かせない「備長炭」が値上げをしています。うなぎ店や焼き鳥店からは困惑の声が聞かれます。
24日は土用の丑(うし)の日。都内のデパ地下で行われていたのは、うなぎのフェアです。専門店や老舗など、12店舗がさまざまな“うなぎグルメ”を販売していました。
お客さん
「夏バテ防止で」
「高いのでなかなか…きょうだけですよ」
“夏のスタミナ食”うなぎ。しかし、おいしく焼くための炭がピンチを迎えているのです。
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東京・豊島区にあるうなぎの老舗「大塚うなぎ 宮川」。こだわりは安定した火力を保(たも)てるという国産の備長炭です。
大塚うなぎ 宮川 八馬誠代表
「中までしっかり火が通って、表面パリっとさせてうまみを閉じ込める。お重を開けた時に違う、炭の香りを感じられる」
土用の丑の日など、夏場は特に需要が高まる備長炭ですが…
大塚うなぎ 宮川 八馬誠代表
「(備長炭が)品薄と聞いていたのは半年ぐらい前から。値段が上がったのは先月ぐらい。うなぎ屋はまず匂いで誘うところから入る。炭はうなぎに欠かせない」
うなぎ自体が高騰している上、備長炭の仕入れ値が1割ほど上がっているというのです。
産地では何が起きているのでしょうか。国内で生産される備長炭の約3分の1を占める和歌山県。中でも最高級品とされる「紀州備長炭」を生産するみなべ町では…
みなべ町備長炭生産者組合 岡崎光男会長
「高齢の人が多い。若い人が別の仕事する人が多い」
生産者の高齢化と後継者不足が年々深刻に。その上…
みなべ町備長炭生産者組合 岡崎光男会長
「原材料のウバメガシが少なくなって、入手困難なところもある」
紀州備長炭に欠かせない「ウバメガシ」の木を伐採しすぎて成長が間に合わず、作りたくても作れないため…
みなべ町備長炭生産者組合 岡崎光男会長
「今年の1月頃までは息子と一緒にやっていたが、別の仕事に就いている。(収入面で)おそらくやっていけない。離れていく若者は多い」
みなべ町では、ここ20年で備長炭の生産量は3分の1に、生産者の数は半分ほどに減少しています。(20年前:約300トン 2022年:約100トン ※出典:和歌山県など)
庶民の味にも影響がでています。
焼き鳥担当の店員
「炭が一番なのかな、お肉もおいしくなる」
海外産の備長炭を使用する焼き鳥店「炭火焼鳥 とり吉」。
お客さん
「香りが違うよね、炭の匂いするよね」
店を始めた20年前から備長炭で焼く焼き鳥にこだわってきたといいます。しかし、この数年で仕入れ値がアップ。
渡辺セリナ店長
「(今)1ケースが約7000円。ちょっと前だと約5000円。高くても削れない経費」
全国燃料協会によると、円安や輸送費の高騰が影響しているということです。
夏休みに需要が高まるあの炭にも値上がりの波が押し寄せています。
スーパービバホーム八王子多摩美大前店 福冨豪店長
「木炭の方は、昨年に比べると約1割~2割、値段が上がっている」
キャンプやバーベキューなどで重宝される安価な木炭。このホームセンターでは円安などの影響で輸入品の仕入れ値が上がっているため、別の種類の炭を増やして対応しているということです。
夏場に需要が高まる「炭」。影響はますます広がりそうです。