【なるほど】トヨタ 半導体不足で販売台数増やしたワケ
トヨタ自動車は、グループ全体の販売台数で2年連続の世界首位となりました。世界的な半導体不足の中、トヨタが販売台数を増やし続けられるわけとは?
28日、国内の自動車メーカーの2021年1月から12月までの1年間の生産・販売実績が発表されました。
トヨタのグループ全体の2021年の年間販売台数は、前の年に比べて10.1%増えて、およそ1049万台と、2年連続の世界首位となりました。
他の国内自動車メーカーの販売台数は、ホンダが約448万台(前年比0.7%増)、日産が約406万台(前年比0.9%増)など、前年と比べてほぼ横ばいとなっています。
世界全体の販売台数で2位のフォルクスワーゲンをはじめ、ルノーやゼネラル・モーターズなど、国内外の自動車メーカーは半導体不足の影響で、減産を余儀なくされ、販売台数にも影響が出ています。
その中で、トヨタが生産を増やし販売を拡大することができた理由に「サプライチェーン」の強さがあげられます。「サプライチェーン」とは、製品の製造から販売までの一連の流れのことをいいます。
トヨタがサプライチェーンを強化するきっかけとなったのが、2011年の東日本大震災です。東日本大震災では多くの国内工場が被災したため、生産停止を余儀なくされてしまいました。
その後、部品が供給され、正常に工場が稼働するまでは、国内ではおよそ4か月、海外では半年ほどかかったといいます。
それ以降、この教訓をいかして、在庫を部品メーカーに一定程度持ってもらうなど、万が一の時に備えたサプライチェーンの強化をしてきました。
また、別の工場で代わりの部品を生産するノウハウなども蓄積してきたということです。
今回の半導体不足でも、グループ会社のデンソーなどに部品の在庫があったおかげで、各社が減産をする中、トヨタが生産を続けることができたといいます。
さらにこんなエピソードがあります。東南アジアのトヨタの仕入れ先のある工場では、感染拡大の影響で「ロックダウン」。移動が制限され、家から通勤することができない状態でした。
そこでその工場では、家には帰らずに、工場に泊まり込んで作業を続けたといいます。
工場に宿泊するため、テントをはって、仮設の風呂も準備しながら生産し続けたそうです。
コロナによって、各企業が改めて事業の継続計画を見直す中、ものづくりを続けるモチベーションの維持も重要なカギになるかもしれません。