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経団連が学校に喝「人材育成の気概を持て」

2020年11月22日 8:01
経団連が学校に喝「人材育成の気概を持て」

経団連は、AIやビッグデータの活用で社会が急速に変化していて、これに伴い、社会で求められる能力も変化しているとして、将来、活躍できる人材を育成するためには、学校教育や教員も変わるべきとする提言を発表した。

■“就活で初めて将来の仕事を考える”は遅い

経団連は、現状では、高等学校では将来の職業を念頭に置いた教育を受ける機会が不足していると指摘。職業観を養うことを重視し、そのために、高校は、学習内容を実社会での活用につながるものに改善する必要があるとしている。

一例として、経済界や大学、自治体との連携で、企業の社員などを講師として招くことや、高校生が大学の研究室のプロジェクトに研究助手として参加する取り組みを紹介した。就職後のミスマッチが起きないように、カリキュラムを共同開発することなども提案した。

■教育デジタル改革 規制見直しも必須

経団連はまた、AIを活用することで、生徒一人ひとりのレベルにあった個別指導が可能になるとして、教員には、生徒の関心や能力に応じてテーマを設定する「ファシリテーター」としての能力が新たに求められるとしている。オンライン教育に関する法規制の改善点もあげた。

現行の規制は、教室内でネットなどを活用したオンライン教育を受けることを想定していて、自宅など遠隔でオンライン授業を受ける必要性は考えられていなかった。

そのため、オンライン教育の際に、「受信する生徒のそばに教員がいること」が義務付けられている。

コロナ禍での緊急措置ではこの要件が特別に緩和されたが、今後もこの条件は撤廃されるべきとしている。

また、“オンライン授業への参加は、全単位数のおよそ半分までしか認められていない”などの制度も見直すべきとしている。

さらに、デジタル教科書の利点として、紙にはできない「動画」や「音声」を活用できることをあげ、現在、デジタル教科書に課されている“紙の教科書と同一の内容でなければいけない”というルールに疑問を呈した。

デジタル教科書を、まずは「主な教材」と位置づけ、その後、一定の移行期間を経たあとは「デジタル教科書のみとすべき」というところまで踏み込んだ。

■未来を担う人材の育成 気概持て

経団連は、日本は他の先進国に比べて、学校教育でのデジタル活用が圧倒的に少ないことを示すデータを引用し、「旧態依然の教育が行われていることの証左」だと指摘した。

その上で、「学校の教職員や教育委員会は、“未来の社会を支える人材を育成している”という気概を持つことが重要である」として、学校改革の重要性を強調した。