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来年度予算案・次世代も納得できる使い方を

2020年12月19日 19:13
来年度予算案・次世代も納得できる使い方を

来年度の予算案が固まった。一般会計の総額は約106兆6100億円と過去最大。これを賄うために、国は約43兆6000億円新たに借金を増やすが、来年度、新型コロナウイルスと景気の状況によっては、さらに借金を重ねるかもしれない。

■通常の予算規模を上回る借金「タガがはずれた」

政府は来年度予算を、今年度の第三次補正予算とあわせて「15か月予算」とみて運営するとしている。今年度の補正予算では、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けた個人や企業の支援に大きなお金を積んだが、来年度予算案でもコロナ対応で遅れが目立ったデジタル化や、コロナ禍での現場の大変さを主張した教育や介護の予算、コロナ対策の前線に立つ地方自治体への支援が増える。

今年度は、3度の補正予算を加えると当初予算の約1.7倍に膨らんだ歳出のために、国は112兆円、新たに借金を増やした。これは、当初予算の一般会計総額を上回る驚くような規模の借金だ。

今、必要なお金の3分の2を次の世代に頼る状態。政府の関係者からは「完全にタガがはずれた」という声もあがる。日本は、世界でも際だった「借金大国」だが、コロナ対応を理由に財政健全化の声はかき消されている。


■コロナで、世界各国の財政は

コロナの感染拡大で大きく国のお金を投入しているのは、各国も同じだ。ただ、例えばイギリスは、この10年ほど厳しく財政再建に取り組み、少し余裕が出てきたタイミングだった。また、ドイツはもともと財政黒字にこだわりが強い。

これに対して日本は、景気が緩やかに回復している局面でも財政をしっかり健全化させることが出来なかった。平成の初めにいったんゼロになった赤字国債の発行額は平成の30年間増加し続け、地方分と合わせた借金は国民一人あたり1000万円に近づく。その状態でコロナ禍の財政支出を迫られているのだ。


■一度緩むと締められない財布のヒモ

国民が危機にある時、その支援に全力をあげるのは当然だ。しかし、その支援の「出口」も見定めておかないと、一度緩めた財布のヒモをなかなか締めることができない。リーマンショック後の対応の一部は最近まで続いた。子や孫に渡す教育資金などの優遇税制は、「格差を拡大する」という批判もある中で「景気刺激」を目的として始まったが、刺激効果が弱まった後も続く。

ある財政の専門家は「コロナ対策のいくつかは、コロナ後もずっと続くと予言します」と皮肉交じりに話す。


■若者の将来不安・この先の道筋を示す必要がある

日本の若者は貯蓄志向を強めている。マネックス証券の調査によれば、貯金をする理由として、30代までの約3割が「将来の年金の不安」を、2割超が「国の財政の不安」をあげている。若者の不安は少子化を加速させ、消費の萎縮も招く。コロナ禍での財政拡大がやむを得ないとしても、その先の健全化の道筋は早くから示す必要がある。

日本の政府や政治家は増税の話を避けているが、イギリスでは、コロナの分の財政を埋めるために「富裕税」などの議論が始まっている。EUはコロナ基金の財源としてプラスチック税の導入などを予定しているという。

今の危機を乗り越えるための莫大なお金は、まだ生まれてもいない次の世代にも助けてもらうものだ。せめて、その世代に胸をはれる使い方をしたい。

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