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ガソリン車“全廃”できる?業界トップ戦略

2020年12月26日 21:22
ガソリン車“全廃”できる?業界トップ戦略

政府は25日、2030年代半ばに「ガソリン車」の新車販売をやめる方針を発表しました。自動車業界のトップが打つ次の一手。そこには解決すべき課題がありました。


◆トヨタが勝負かけた「MIRAI」

今月、トヨタが勝負をかけたクルマを発売しました。注目は、燃料のタンクです。このクルマは水素を使って走ります。

トヨタ・新型MIRAI開発責任者 田中義和氏「一から全てを見直して、ある意味、初代とは全く違ったレイアウトに」

デザイン性を重視したこれまでのクルマを、あえて普通の乗用車の形にモデルチェンジ。一方、燃料の水素を入れるタンクを改良して走れる距離を3割伸ばしました。

菅首相(今年10月 所信表明演説)「2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指すことを、ここに宣言いたします」

菅首相が宣言した「カーボンニュートラル」。温室効果ガスの排出量を実質ゼロにするもので、実現にはCO2の排出量を減らさなければなりません。


◆水素燃料電池車“選ばれない理由” ステーションが…

そこで、政府は25日に「グリーン成長戦略」を公表し、2030年代半ばに「ガソリン車」の新車販売をやめ、「電動車」へと切り替える目標を定めました。

トヨタは、「電動車」のひとつである水素燃料電池車を普及させることを狙っています。しかし、その道のりは順調とはいえません。初代MIRAIの年間の国内販売数は600台ほど。

そこにはユーザーから選ばれない理由がありました。

“水素自動車”の燃料を入れる水素ステーションは、都市部を中心に全国108か所(12月現在)。全国のガソリンスタンドの数、およそ3万か所(昨年度末)と比較しても大きな差があります。

なぜ、水素ステーションを建てることが出来ないのでしょうか。水素ステーションの担当者は──

岩谷産業・水素ガス部 寺岡真吾部長「水素というのは可燃性のガスで、非常に高圧なガスを使用していますので、高圧ガス保安法に基づいて建設しないといけないので、それなりの広い土地が要ります」

現在の法律では、安全性を考え150坪以上の広さの確保など場所や条件が厳しく、建設コストもガソリンスタンドの5倍かかります。


◆課題は他にも…CO2削減につながらない?

課題は他にもあります。水素の発生には水を電気で分解する必要があり、その電気はCO2を出す火力発電などで作られています。水素を作るためには大量のCO2が発生して、CO2削減につながらないといいます。

火力発電を使わずに水素は作れるのか。

そこで日本テレビは、福島・浪江町の『福島水素エネルギー研究フィールド』を訪れました。太陽光発電など再生可能エネルギーの電力を使い水素を製造する研究をしています。東京ドーム4個分の敷地に設置された太陽光パネルで発電し、その電気で水を分解するのです。

しかし、コストがかさむことなど実用化に向けて課題はまだ山積みです。

NEDO統括研究員 大平英二氏「エネルギーを大きく変えていくためには、30年ぐらいのスパンで考えていかなきゃならない」


◆自動車業界からも指摘“発電のしくみそのものを変える必要”

自動車業界からも発電のしくみそのものを変える必要があると指摘されています。

日本自動車工業会 豊田章男会長(今月17日)「国家のエネルギー政策の大変革なしには(カーボンニュートラルの)達成は難しいと、ぜひともご理解いただきたい」

菅首相が掲げたカーボンニュートラルへの道のりは、まだまだ険しいようです。