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JR東ビジョン「人起点」鉄道事業を5割に

2021年1月8日 23:01
JR東ビジョン「人起点」鉄道事業を5割に

JR東日本の深澤祐二社長は、日本テレビの取材に応じ、グループのビジョンについて鉄道事業の割合を今の7割から5割にまで引き下げ、「鉄道起点の会社」から「人起点の会社」に変えていくと語りました。

■「鉄道は元に戻らない」・・・という中での経営戦略

「残念ながら鉄道は元には戻らないということ。こういう前提で行くと『生活サービス』『IT・Suica』、この分野をより高く伸ばしていかなきゃいけないと思っている」。

JR東日本の深澤社長はこのように述べ、コロナ禍で加速するビジネスの大きな変革の中で、今後、鉄道事業の割合を今の7割から5割にまで引き下げていく方針を明らかにしました。

鉄道以外では、ことし新しい生活スタイルや働き方にあわせた『ワーケーション』やeコマース、無人店舗の展開、ロボットの活用など、それぞれの分野に秀でた会社との連携も生かし、取り組みを進めていきたいとの考えを示しました。

一方、鉄道事業についても、今年度「しっかり黒字化する」と決意を示しました。固定費が高い鉄道事業を黒字にするためには、「コストの柔軟化が必須」としました。

一日のうちのピークや季節的なピークを下げることが重要で、そのために、さっそく3月から“ピークを外して利用した定期券の客”には「オフピークポイント」というポイントを付与するサービスを始めます。

オフピークの時間帯の運賃自体が安くなるシステムについては、「国の認可が必要なものもあり、国と協議を行いながら実施していきたい」と述べました。

また、「新幹線の使い方にもバリエーションを作っていく」とし、新幹線の一部の車両をテレワーク専用にする実証実験を行う予定です。

また、新幹線で荷物を運ぶと「超特急便」になるとして、「新鮮な魚介や野菜、果物、あるいは振動に弱い電子部品、そういったものを本格的に新幹線で運ぶサービスも定着させていきたい」と語りました。

■働き方改革

給与体系や働き方についても、「昔の国鉄からJRに来た人たちがほぼ定年の年齢になって退職していき、全体が若返る」として、新たな制度をつくっていく考えを示しました。

よりこだわりを見せたのは業務の柔軟化です。一日中、駅の窓口で切符を販売したり、運転をしたり、といった固定的な働き方を見直していて、一人の人間が“オフィスでの仕事もし、週に何日かはドライバーの仕事をする”などの働き方を増やしていると説明しました。

さらに、今後技術が発展し、自動運転が導入されれば、仕事そのものが大きく変わってくるとの見通しを示しました。

また、「副業」についても将来的に導入の可能性もあり、そうした働き方改革で、社員一人一人の職場へのエンゲージメントを高めていくことができるか見ていきたいとしています。

また、JR東日本では、終電の時間を30分繰り上げる予定で、これにより、夜間のメンテナンスの効率を上げることができて働き方改革にもつながり、また、工事の期間を短くできれば客へのサービス向上にもなると説明しました。

また、4月から半年間、東北6県への観光促進キャンペーンを予定しています。「東日本大震災から10年という節目でもあるので、東北の復興をしっかり盛り上げる取り組みをしていきたい」と話していました。