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一律『1日6万円』実態にあわず…飲食店は

2021年1月27日 20:46
一律『1日6万円』実態にあわず…飲食店は

緊急事態宣言が再び出される中、飲食店からは時短要請に応じると支給される一律『1日6万円』の協力金に、「実態にあっていない」と不満の声もあがっています。


◆居酒屋が鮮魚店に!?コロナ禍で“業態転換”

先週、東京・渋谷区の居酒屋『魚まみれ眞吉 神宮前 本館場末店』に向かいました。肉厚なホタテに金目鯛などが並んでいますが、実はここ、居酒屋が始めた鮮魚店なのです。

さらに、同じ系列の東京・港区の居酒屋『すし屋眞吉 新橋店』は、このコロナ禍で、別の工夫も。去年10月、居酒屋より客が入ると見越して強みの魚を生かせる「すし店」に業態転換しました。

フィッシュウェル 日紫喜智社長「同じ事やってちゃいけないなって。何でもとにかくチャレンジしなきゃいけないと思って」

しかし、緊急事態宣言で政府は飲食店などに、夜8時までの時短営業を要請。東京都などでは、政府の雇用調整助成金などの他、時短要請や休業に応じた中小事業者には1店舗につき1日6万円、ひと月最大186万円の協力金を支払うとしています。

一方、日紫喜さんのすし店の1か月の運営を見てみると、家賃150万円、従業員9人の人件費がおよそ160万円。他に水道・光熱費なども合わせると固定費だけでも400万円以上かかるのですが、日紫喜さんの受け取る協力金は1店舗186万円。とても足りないといいます。

フィッシュウェル 日紫喜智社長「6万円というのは正直、厳しいですね」


◆『昼もだめです』。僕ら、どうしたらいいんですか?

さらに、1月13日、菅首相が──

 「不要不急の外出については日中も控えていただくようお願いをいたします」

フィッシュウェル 日紫喜智社長「時短になって『行くな』ってなって、今度は『昼もだめです』。もう僕ら、どうしたらいいんですか」

結局、時短営業をしても赤字経営で採算がとれないとして、日紫喜さんは今週から、1店舗を除いて休業を決めました。

城南信用金庫の調査でも飲食店から悲痛な声が。

 「4月の新卒採用をする予定だったが、やめることにした」
 「借り入れも行い、店と従業員を守るために貯金も使い果たした。もう閉店するしかない」


◆老舗料亭も苦境に…1か月の固定費だけで5000万円以上

苦境に立たされているのは有名料理店も同じです。老舗料亭「菊乃井」を経営する村田主人もその一人。

老舗料亭『菊乃井』村田吉弘主人「(6万円は)ありがたいことはありがたいんです。けれども、それってちょっと少ないんちゃうと。業態に応じてそれぞれちゃんと税金もそれだけ払っているわけですから」

京都の「菊乃井」本店は、1か月分の固定費だけでも1店舗で5000万円以上かかるといいます。


◆東京都で大手企業も協力金の対象に…今後は

こうした中、東京都でも大手企業が協力金の対象となり、1店舗あたり6万円が支給されることになりました。従業員およそ11万人を抱えるファミレス大手のすかいらーくも協力金の対象です。

すかいらーくHD・執行役員 西田浩蔵さん「大変感謝をしております。売り上げや利益、または雇用する人数にも違いがありますので、(今後)雇用実態に応じた支給制度をご検討いただきたい」

ロックダウンに踏み切ったイギリスでは、事業規模に応じた支援金が配分されています。日本では事業規模に応じた協力金の給付では時間がかかるとして、今の時点では採用する動きはありません。

実態にあっていない支援策に、飲食店の苦悩は深まっています。