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自動化で人に優しく 街でオフィスビルで

2021年3月26日 11:38
自動化で人に優しく 街でオフィスビルで

最新の「自動化」技術で、街やオフィスビルが大きく変わろうとしています。トヨタは富士山麓に新しい街をつくり、日産は福島県浪江町で人と荷物を運ぶ実験を展開。ビルではロボットやエレベーターが移動を後押しします。人に優しい未来は、もうそこに―。


■トヨタ 自動運転で新しい街づくり

日本一の山・富士山のふもとで、ある街の建設が始まっています。走るのは、自動運転の車。その車が集まると商店街になります。最新技術の実験を行うため、つくられる街。トヨタ自動車が、4年後の稼働を目指しています。


■車なしの生活が難しい街で…

一方、今すでにある街を自動運転でがらっと変える実験も行われていました。東日本大震災で被災した福島県浪江町。中心部の主な移動手段は、1日6便しかない路線バスや自家用車です。

毎日、自転車で通勤する町役場職員の志賀隆寿さん(33)は「買い物や医療といった生活は、車なしにはやはり成り立ちません」と言います。

バスやタクシーに替わる移動手段として日産を中心に行ったのは、自動運転の車などで街を結ぶ実験「なみえスマートモビリティーチャレンジ」(今回の実証実験の期間は終了)です。JR浪江駅や道の駅、大型スーパーなど、8か所を電気自動車(EV)で結ぶルートを走行しました。

実際に志賀さんに体験してもらいました。
運転席に人は乗りますが、ハンドル操作やスピードの加減は全自動です。
志賀さんは「不思議な感覚ですね。すごい未来を感じます」

道の駅に入ると、タッチパネルがあり、「大型スーパー」のアイコンに触れると、画面に「もうすぐ到着します」と表示されました。8か所の目的地を結ぶ車は、タッチするだけで好きなタイミングに呼べるシステムになっていました。同じ方向の人とは、相乗りになることもあります。


■宅配サービスで荷物も運ぶ

目的地の大型スーパーに入ると、志賀さんは地元でとれた魚の刺身を購入しました。
「移動がしやすくなると、買い物なども頻繁に足を運べるようになります」

買い物を終えてまた車に戻ると、志賀さんが買っていないウーロン茶の箱が車に運び込まれていました。この実験では人だけではなく、スーパーの宅配サービスで荷物も運びます。志賀さんが降りた後、荷物は別の人の家に届けられました。人と商品を効率良く運べ、重い荷物もその日のうちに届けてくれます。

将来的には、これらのすべてを自動運転にする構想。管理の秘密は、モニターだらけの管制センターにあります。

実証実験の担当者
「『この先、右折しようとしている』と(分かるように)矢印で出ています」
車の位置や走行状況が一目で分かり、ライブカメラで周りの様子も確認できます。
そのため1人で何台もの自動運転車を管理できるといいます。

過疎化が進む街で目指すのは、人手をかけずに導入できるシステムです。

土井三浩・日産自動車常務執行役員
「交通の課題というのは場所、場所で違います。技術開発をしていくことによって、日本全国いろんな所で自動運転が将来的に使える機会が増えてくると考えております」


■「人に優しく」 オフィスビルでも

廣瀬俊朗・元ラグビー日本代表キャプテン(『news zero』パートナー)
「人とモノの移動をシェアすることで効率が上がるのはすごくいいなと思います。自動運転は海外に比べて遅れているので、こういった公道での実験を増やすのは重要ですね」

有働由美子キャスター
「今回、場所が浪江町ということでしたが、まだ、なかなか人が戻らない中、自動運転のランドマークになることで、少しでも活気が戻ったりするといいなと思いました」

岩本乃蒼アナウンサー
「車だけではなく、人に優しくしようという動きは、オフィスビルでもあります。都内のビルでは、入り口で顔認証をするだけで、自分が勤務するフロアに一番早く向かうエレベーターを自動で呼び出してくれます。自動の警備ロボットもあり、人や物をよけながらビルの中を巡回します。しかもロボット自身がエレベーターを呼び出して、別の階に移動することもできます」


■廣瀬さんに聞く 「偶然」も自動化?

廣瀬
「自動化によって効率が上がったり便利になるのはすごくいいなと思いましたが、何かが生まれる時は意外と、偶然の出会いみたいなものもあるので、その『偶然』を自動化で設計できたりとか…」

有働
「例えばどういうことですか」
廣瀬
「今日はアイデア欲しいなっていう時は、人にいっぱい会えるとか…」
有働
「それを自動化でやってくれるということですね」
廣瀬
「あと、マッチングですね。この人に会った方がいいよ、みたいなことを教えてくれるとか…」
有働
「そんなの遠い将来だろうと思っていましたが、もうここに来てるんですね。それについていけるようなアップデートを、私たちがしていかないといけないのかもしれません」

(3月25日『news zero』より)