「処理水」2年程度あとに海洋放出する計画
東京電力・福島第一原発で溜まり続けている「処理水」について、政府は薄めた上で海に流して処分する方針を決定しました。
原発事故から10年、処理水の処分方法がようやく決まりました。
菅首相「基準をはるかに上回る安全性を確保し、政府を挙げて風評対策を徹底することを前提に、海洋放出が現実的と判断し、基本方針を取りまとめました」
政府は関係閣僚会議で、処理水を海洋放出する基本方針を決定しました。福島第一原発では、これまで放射性物質を含む水を敷地内に設置したタンクに保管してきましたが、来年秋以降には満杯になるとされています。
基本方針では、処理水に残る放射性物質、トリチウムの濃度が基準値を下回るよう海水で薄めた上で、2年程度あとに海に放出する計画を正式にまとめました。基本方針では、放出前後の海に含まれるトリチウムの検査や、風評被害への対策を徹底した上で、それでも被害が生じた場合には東京電力が賠償することを明記しています。
東京電力・小早川智明社長「復興と廃炉を両立していく責任をはたしていくという上で、しっかり取り組んでまいりたい」
梶山経産相「万全のモニタリングの体制の整備、漁業者などのご懸念の把握と徹底した風評対策という2点を確保できている。決定のタイミングは適切であったと考えております」
このあと、梶山経産相は福島を訪問して漁連の幹部らに直接説明します。経産省の幹部からは、「決定できてほっとした」との声もあがっていますが、地元の理解をえることができるのかが、今後の課題です。