“産業の脳” 日本の半導体戦略は?
家電や電子機器に欠かすことができない半導体は、その重要性から「産業の脳」といわれています。世界的な獲得競争に、日本も遅れまいと動き出しています。
先月、自民党本部。安倍前首相は、半導体政策の強化を訴えました。
安倍前首相「全産業のチョークポイント(急所)となりうる半導体」
半導体は、高速で計算をしたり、データを記憶したりする電子部品です。
日本テレビ・右松健太記者「掃除機は空気でゴミを吸い取るだけだったものが、現在では、汚れ具合を判断して自動で掃除をしたり、スマホで操作ができるものもあります。そういった機能を支えているのも半導体です」
かつては電気製品の部品のひとつにすぎなかった半導体ですが、いまや、スマホや高性能家電、自動車など、あらゆるものに組み込まれています。
日本は半導体の売り上げで世界の半分のシェアを占めていましたが、今はおよそ1割に落ち込み、この先、ほぼゼロになる可能性も指摘されます。
半導体はデジタル社会に欠かせない「産業の脳」。その確保が、あらゆる産業の命運を握っています。
アメリカや中国など各国がこぞって巨額の投資をする中、日本は大きく水をあけられているのです。
梶山経済産業相「(半導体は)失われた30年の反省と足元の地政学的変化を踏まえて、大きく政策転換をはかってまいりたいと考えております」
政府は4日、エネルギーや食糧と同様に“死活的なもの”となった半導体に「国家事業として取り組む」という戦略をまとめました。
今の日本では作れない、世界最先端の半導体製造技術を持つ台湾などの企業を誘致するために、政府や民間から、これまでにない規模で投資する構えです。
国内の企業を支援するこれまでの自前主義から一転し、海外の力も呼び込んで、先端技術を確保するのが狙いです。
半導体産業復活のラストチャンスと位置づける日本が、この戦略で巻き返すことができるのか。国と企業の双方に、次元の異なる行動力が求められます。