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企業が大学部活動を支援、そのワケは…

2025年2月15日 18:11
企業が大学部活動を支援、そのワケは…

いま、企業の間で大学の部活動を支援する動きが広がりを見せています。学生が抱える課題、そして企業が支援に乗り出すワケを取材しました。

北海道・旭川市。大学の陸上競技部を訪れたのは、陸上の元オリンピック代表・為末大さんです。

ここ数年、全国大会に出場する選手が徐々に増え、成長中の陸上部。

為末さん「靴の下にソールがあるでしょ。あれをちょっと潰す感じ。(ソールを)潰した反動で足が上がってくる感じ」

キャプテンの二階堂さんは、為末さんと同じ、ハードルの選手です。憧れの選手からの直接指導に…

陸上競技部主将・二階堂翔生さん「もうすごい。なんか『例え』がすごい、為末さん」

しかし、その練習環境にはさまざまな課題が。スペースに限りのある体育館。廊下まで目一杯使っての練習です。

為末さん「どれがグラウンドか分からないね、これ…」

冬は雪に埋もれて使えない屋外のグラウンド。ただ、雪がない時期でも…

二階堂さん「(Q:照明は?)ここに1本と、もう少し走った先にゴールに1本」

暗くて夜の練習は危険な上に、トラックの劣化が進んで硬くなり、ケガも増えているといいます。

さらに部員からは最近の物価高の影響などもあり、活動費の捻出に苦労するとの声も。

実は陸上部、こうした課題を解決するためのある支援を受けることになりました。三井住友銀行が始めた、大学の運動部に活動費や設備費など、年間100万円を助成するプロジェクト。

為末さん「私は比較的、競技と地域の多様性と目的から(応募内容を)見ていまして」

競泳元五輪代表・伊藤華英さん「地方の大学というのもちょっと推そうかなと思っています」

為末さんの他にも、ラグビー元日本代表主将・廣瀬俊朗さんや車いすテニス パラリンピック金メダリストの上地結衣さんら著名なアスリートが参加し、およそ20の支援先を決めました。

支援を受ける部活には社会貢献活動を行うことも求められます。二階堂さんたちは大学のトラックを整備し、地元の子どもたちにも練習場所として提供する計画です。

三井住友フィナンシャルグループのトップは、学生を支援する狙いについて──

三井住友FG・中島達社長「将来の日本を担う人材をどう育てていくかも、我々にとって大事な使命。長い目で見たらたぶんSMBCグループで働いていただけるかもしれないし、そうでなかったとしても、何らかのビジネスが生まれるかもしれない」

一方、中小企業の間でも、大学の部活を支援する動きが。

明治大学・女子ラクロス部の練習に訪れたのは、企業やサービスのブランディングデザインを手がける企業の社長です。

支援を求める部活と企業をマッチングするサービス「スポンサーズブースト」を利用し、ラクロス部の「スポンサー」になることを検討しています。

株式会社mela・吉田雄輝 代表取締役「採用であったりとか、学生の思考を知れる場があるので(スポンサーになるのを)検討している」

人材獲得競争が激しくなる中、優秀な学生を見つける場として、スポンサーになることで「部活動」と接点を持つ企業が増えているのです。

大学生が「やりたいことに打ち込める」社会へ。支援の動きはさらに広がっていくのでしょうか。

最終更新日:2025年2月15日 18:22