無人カフェが挑む 飲食営業の規制改革
技術が進歩するなか、現在の飲食店営業の規制を緩和できるか、無人カフェで実証実験が始まっています。
■無人カフェ 飲食営業の規制改革に挑戦
東京・神田駅の近くにあるこちらの無人カフェ「root C(ルートシー)」。アプリで事前に注文しておくと、指定した時刻にロッカーから人と接触せずコーヒーを受け取ることができます。
カフェを運営する「New Innovations」は、ことし4月、本格的に無人カフェのサービスを展開しました。ユーザーからは、待ち時間の少なさや非接触であることが好評だとして、現在の3店舗から今年中に20店舗まで展開予定です。
6月からは、無人店舗でも食品衛生法の衛生管理ができるかどうかを検証するため、政府の認定を受け実証実験を行っています。
■無人店舗での衛生管理が可能かどうか検証
今回の実験は、現在の法律の範囲内で行われます。現在の法律では、営業許可を取得し衛生管理が守られれば、飲食店の運営ができるとされていて、“有人か無人か”ということは明文化されていません。
ただ、カフェの運営会社によると、衛生管理の面で無人店舗の運営の安全性を証明することは難しく、実際は保健所の運営許可が得られにくいといいます。
それを今回、政府から実証計画の認定を受けた上で検証を進め、規制の見直しにつなげたいとしています。さらに、衛生管理が難しい「牛乳」を使用して、カフェラテメニューの販売にも挑戦しています。
■Z世代22歳のCEOが挑む
実験を行うのは、大阪大学在籍中の中尾渓人代表取締役CEO(22)。2018年、当時高校3年生の時に起業しました。今回の実験のきっかけについてこう話します。
――中尾CEO
「いろんな業界を無人化していく時に法律とのずれというか合わないことがある。法律が正しい可能性もあるが、50年前正しかったことを、いまも押しつけている法律は結構あるというところを思っていて、それを何とかしようとすると中央省庁と一緒にやらないといけないということで申請したら、スムーズにいった」
実験期間中は、コーヒーを作る装置のメンテナンスを1日に1回行います。食品衛生責任者などが内部の清掃や部品を交換するほか、センサーで常に温度の管理を行い、カメラを通して遠隔で衛生状態を監視するということです。
中尾CEOは今後、飲食業以外でも規制改革を推進していきたいといいます。
――中尾CEO
「飲食のほかのジャンルや福祉系、建設業なども、おそらく既存法律が問題で産業活動が阻害されている。みんなよくないと分かっていても、変えたいと言い出す事業者が不在だから動いていないというのが非常に多いので、今回をきっかけにどんどんほかでもやっていきたいと思っています。」
実験はことし6月から9月まで行われる予定です。