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2021年7月19日 12:27

世界初…牛ゲップ研究 地球温暖化防げるか

世界初…牛ゲップ研究 地球温暖化防げるか

政府が2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにする“カーボンニュートラル”を掲げるなか、「牛のゲップの研究」が温暖化を防ぐ一手となるのか。研究が進められています。

■牛のゲップはなぜ問題?二酸化炭素の25倍の温室効果

そもそも牛のゲップは何が問題なのでしょうか。なんと牛のゲップには、二酸化炭素の25倍の温室効果があるメタンが含まれているのです。

北海道大学大学院農学研究院の小林泰男教授によると、牛のゲップは、世界の温暖化ガスの4%を占めるといい、研究チームは2050年までに牛から出るゲップのメタンを8割削減することを目標にプロジェクトを進めています。

■牛から出るゲップメタン8割削減の目標

牛のゲップのメタン8割削減を掲げるプロジェクトの研究課題は、主に3つだといいます。

1つめは、メタンを下げるえさを開発することです。これまでのえさは、削減できても2割が限界でしたが、ある化学物質でメタンの大幅な削減が可能だと思われる素材を見つけたといい、研究を進めています。

2つめは、全国の牛を測定してメタンが少ない牛を見つけ出し、原因を明らかにすることです。すでに、同じえさを同じ量食べても、発生するメタンの量に個体差があることが分かっています。メタンが少ない牛の胃の中にある微生物を取り出し、サプリメントのようにえさに混ぜて、メタンの多い牛の胃に送り込みます。そして、メタンの多い牛を淘汰し、メタンの少ない牛を残していくといいます。

3つめは、牛ごとにメタンの発生が少なく済む、えさやりのタイミングを解析することです。これには、牛にカプセル型の機械をのみ込ませ、メタンがいつ、どのくらい発生しているかのデータを集めることにしています。

これらの研究はすべて世界初。プロジェクトは、未来の社会を見据えた挑戦的な研究を推進する政府の開発制度にも採択されています。

■「牛は草食動物。草100%のえさに戻す畜産を」

小林教授は、約1万年続く牛の食文化を科学の力で維持するか、途絶えさせて昆虫食などの新たな食文化をつくるのか、いまが分岐点だといいます。

小林教授
「メタンを発生する牛は悪者扱いされているけれど、我々の努力が足りない。科学の力で今までの食文化を守りつつ、牛の地位を下げることなく増産していける体制をつくりたい」

その上で、ゆくゆくはここ30年でゆがんだ畜産を改善しなければならないと警告します。

もともと牛は草食動物で、草を食べれば育てられますが、ここ30年ほどで、牛からとれるミルクや霜降りを増やすために穀物をえさに食べさせるようになりました。

人口増加で食糧不足が課題になるなか、穀物は人の食糧にまわし、草100%の畜産でも質や量を高めていけるよう開発をすすめていきたいとしています。

※画像:農研機構提供