廃棄食材の意外な活用法
■廃棄される野菜をクレヨンに
富国生命のプロジェクト「THE MUTUAL Art for children」でクレヨンが作られました。その名も「おやさいクレヨン」。出荷前に捨てられてしまうキャベツの外側の葉や、規格外で捨てられてしまうトウモロコシなどが使われています。色は5色。とうもろこし色、りんご色、カシス色、むらさきいも色、きゃべつ色。とうもろこし色は黄色のような色合いですが、野菜そのものの色を表現するため、あえて野菜を色の名前としています。原色より淡かったり、くすんでいたり…野菜独特の色合いです。
作り方は米ぬかからとれた米油とライスワックスをベースに、収穫の際に捨てられてしまう部分などを粉末にしたもので着色。万が一、口に入れても安全な素材だけでできているといいます。
その季節にあった野菜や果物で作られるおやさいクレヨン。今月14日に小児がん啓発・応援プロジェクトの一環として、全国15か所の小児がんの拠点病院に3000セット送られました。12月には冬の野菜でクレヨンを作るそうです。
■野菜や果物のやさしい色の和紙
廃棄される野菜や果物を利用した物はほかにも。
老舗和紙メーカー「五十嵐製紙」は、たまねぎやにんじん、みかんなどの廃棄される部分を和紙に織り込み、「Food Paper」としてノートやメッセージカードなどを製作、販売しています。
野菜を原料にする背景には、深刻な原材料不足の問題がありました。和紙の原材料である楮(こうぞ)や三椏(みつまた)、雁皮(がんぴ)などの植物の収穫量は激減し、特に楮は最盛期の1960年代に比べ100分の1まで落ち込んでいます。このままでは和紙の伝統が守れない、そう考えていた伝統工芸士・五十嵐匡美さんの目にとまったのは小学生の息子の自由研究。テーマは食べ物から和紙を作る。冷蔵庫にあったタケノコや枝豆の殻まで約40種類以上の食材を使って和紙を作るアイディアから廃棄される野菜を使うことを思いついたといいます。
和紙の丈夫かつ繊細という特徴を損なわないために、繊維が細い廃棄野菜の割合は、あえておよそ5割に抑えています。
現在は、新型コロナウイルスの影響もあり、個人向けの販売が中心だということですが、今後は、企業で出た廃棄野菜・廃棄果物で和紙をすき、商品のラベルに使用するなど企業とのコラボレーションも進めていきたいということです。