原油高騰で灯油が…温泉施設で“値上げ”も
ガソリン価格の値上がりが止まりません。27日、発表されたレギュラーガソリンの店頭価格は1リットルあたり167.3円と、7年1か月ぶりの高値水準となりました。灯油も高騰していて利用料の値上げに踏み切る温泉施設も出ています。
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東京の隅田川などを走る屋形船「船清」。去年2月、感染者が確認されました。
船清 伊東陽子女将
「感染対策で間仕切りをつけたんですね。換気扇なんですね、換気もいい」
都の認証を受けているこちらの屋形船。“時短”と“酒”の“制限が解除”され、女将は客足が戻ると信じていましたが─。
船清 伊東陽子女将
「(客の)7割くらいが忘年会がないとお聞きしているので、不安がありますよね」
客足は、コロナ前と比べ、8割ほど落ち込んだままだといいます。そこに追い打ちをかけているのが、天ぷら油など様々な値上がり。さらに燃料についても─。
船清 伊東陽子女将
「原油もかなり高騰していますので、来月から値上げせざるを得ないということをいただきまして」
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“時短要請の全面解除”から2日。27日の、東京都の新規感染者数は36人になりました。11日連続で、50人以下となりました。“全面解除”で、経済回復に期待がかかる一方で、原油価格の高騰の影響は、温泉地にも広がり始めています。
お客さん
「もう少し安くなれば、気軽に遠出できて観光も楽しめるのかなと」
27日、発表されたレギュラーガソリンの全国平均の店頭価格は、1リットルあたり167.3円と8週連続の値上がりとなりました。
“宣言解除”を受け、静岡県まで観光に行ったという男性は─。
お客さん
「帰ってくるとガソリンが満タンで万札吹っ飛んじゃうから、(値上がりは)でかいですよ」
お財布に影響を及ぼすガソリン価格の高騰。例えば、東京から静岡県富士市に乗用車で向かった場合、往復のガソリン代は、去年の同じ時期と比べて、1000円ほど高くなる計算です。
世界的にコロナの感染が落ち着き、経済活動が回復。アメリカや中国を中心に原油の需要が高まったことで、ガソリンなど様々な燃料が値上がりしているのです。
千葉県の房総半島を拠点にするバス会社では、バスに、次々と燃料の軽油を入れていきます。今、「軽油」も値上がりが続いていて─。
日東交通木更津営業所 加藤正之所長
「去年と比較すると(1か月の燃料値上げは)600万円くらいの自社負担。正直厳しいですね」
宣言は解除されたものの、観光バスツアーや路線バスなどの利用者数は、コロナ前の6割ほどに。売り上げが大幅に落ちる中、燃料の値上がりが、追い打ちをかけていました。
日東交通木更津営業所 加藤正之所長
「コロナの影響と燃料の高騰はダブルパンチの状況ですね」
この状況に石油連盟の会長は─。
石油連盟 杉森務会長
「消費者向けには転嫁をしていかないと、(ガソリンスタンドなどの小売りは)存続できないということですので、しっかり転嫁していただきたいと」
利用料金の値上げに踏み切った施設も出てきています。昭和レトロな雰囲気漂う、埼玉県ときがわ町にある日帰り温泉施設です。源泉をくみ上げるポンプをみせてもらうと、源泉は少し冷たかったです。
昭和レトロな温泉銭湯玉川温泉 新井志野支配人
「(源泉は)24℃冷たい温泉なので、ボイラーの灯油の量、結構使うので」
温泉を沸かすボイラーに、灯油を使っているこの施設。毎日3時間ほど温泉を沸かすため、原油高騰による灯油の値上がりに頭を抱えていました。そのため─。
昭和レトロな温泉銭湯玉川温泉 新井志野支配人
「曜日によって変わるんですけど、50円~100円値上がりさせていただきました」
来月から値上げすることについて、お客さんは─。
20年来通う客
「(利用料金)上げてほしくはないけど、やむを得ないのかなと思います」
気温が下がるとさらに需要が増す灯油。およそ7年ぶりの高値水準で、北日本を中心に暖房費に影響が出始めています。