牛丼店にファミレスも…飲食チェーンの“新戦略” 女性客狙いのメニューや居心地良い店作り ミニサイズ展開も
コロナ禍で苦境にあえいだ大手飲食チェーン店がこの春、次々と新たな業態の店舗や新メニューの展開を始めています。コロナ禍で変化した新たなニーズの取り込みを狙うその戦略を取材しました。
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今年2月にオープンしたカルビが売りの店「かるびのとりこ」。
「お待たせしました。牛かるび丼の並です」
出てきたのは特製ダレにくぐらせた牛肉をじか火で焼き上げ、アツアツご飯の上に盛り付けたどんぶりメニュー(「牛かるび丼 並」590円)です。人気の「カルビ」を使用しています。
記者
「お肉がジューシーで、じか火で焼いた香ばしいお肉の香りが口いっぱいに広がります」
この店を手がけるのは、実は牛丼でおなじみの「吉野家」です。
吉野家・新業態開発室 担当・安蒜之彦さん
「“吉野家”が手がけるレストランタイプに近いファストカジュアル業態」
吉野家が新業態の店をオープンするのは、実に10年ぶりのことだといいます。
吉野家・新業態開発室 担当・安蒜之彦さん
「多様化するお客さまのニーズに応えるために、主にファミリー層であったり女性層にフォーカス」
その理由は幅広い客層の開拓です。男性のおひとりさま需要に応えつつ、ファミリー層や女性客を意識した店作りをしたといいます。そのため、カウンター席だけでなく、テーブル席も充実しています。
女性利用客
「きれいだし、気軽に入れる感じでいいですね」
実際、店には女性客の姿がありました。そのお目当ては真っ赤なスープの「スンドゥブ」です。牛肉や野菜からダシをとった吉野家にはないメニューです。主に女性客獲得のため開発した商品だといいます。(スンドゥブ 690円)
また、テイクアウト需要の高まりを受け、ドライブスルーを設置。ここでも、スンドゥブを持ち帰る人が多いということです。
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新戦略に乗り出すファミリーレストランも出てきています。「ロイヤルホスト」は25日、新店舗をオープンします。
新店舗では、メーンとなる2人席のテーブルを大きめに設計しています。居心地の良を高めつつ、ファミレスでは珍しい「半個室席」を設置。プライベート空間も作り出しました。
ロイヤルフードサービス 生田直己社長
「稼働率のみならず、お客さまの居住性というところで改めて展開していきたい」
新型コロナウイルス収束後の新しい価値観に基づき、店作りが行われていました。
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一方、全国に約1300店舗を展開するガストも新戦略を打ち出しています。
すかいらーくグループ・マーケティング本部 竹島祐希さん
「より外食の機会が増えておりますので、様々なお客さまのニーズに応じて使い勝手が良いメニューを用意」
新型コロナが落ち着き外食する機会が増える中、注文しやすい“ミニサイズ”メニューを展開しています。
例えば、「若鶏のグリルガーリックソース」は通常2枚で750円ですが、1枚のハーフサイズは450円で提供しています。また、自家製生パスタの「しらすと九条ネギの出汁醬油バター」は通常850円がミニサイズで450円となっています。(※いずれも店舗により価格は異なります)
バリエーションは様々で、物価高の中で“少しずつ色々なものを食べたい”という需要や、“お酒のおつまみ”として注文する客を新たに取り込みたいということです。