ガソリン価格に政府も対策…なぜ高騰続く?
いま「ガソリン価格が上がって大変」という方が多いと思いますが、最新の価格が発表されました。政府も緊急的な対策を打ち出しています。
■高騰続くガソリン…最新の価格は?
まずは、全国のガソリンスタンドでのレギュラーガソリン(1リットル)の店頭価格です。今年の頭には136円台だったのが、右肩上がりで、先週まで10週連続で値上がりしました。
先週は169円ちょうどで、今週、170円台に突入するかが注目されていましたが、最新価格が公表され、168円90銭となりました。
前の週に比べ、わずかに10銭値下がりしました。11週ぶりの値下がりとなりましたが、横ばいで高止まりが続いています。
■政府が対策 補助金でガソリン価格は安くなる?
こうしたガソリンの高騰に歯止めをかけようと、政府が新たな対策を打ち出しました。石油の元売り会社に補助金を出すというものです。
具体的には、レギュラーガソリンの全国平均が1リットル170円を超えた場合、エネオス、出光、コスモといった元売り各社に1リットル最大5円を支給する方針を固めました。
これによって、元売りから小売りへの卸売価格を抑え、ガソリンスタンドの店頭価格の値上げに歯止めをかけたいという考えです。
政府関係者によると、こうした措置は年内にも開始する方向だということです。来年3月をメドに終えるという、あくまで時限措置。緊急的な対策になる見通しです。
これでガソリン価格が抑えられるかどうかは、政府からの補助金を元売り各社がどのように反映するかがポイントとなります。
17日、元売り大手に取材してみました。
出光は、あくまで補助金の詳細が決まってからということですが、運用が開始された場合には、政府からの補助金相当分を全額、ガソリンスタンドへの卸売価格に反映させるということです。5円なら5円下げるということになります。
ただし、それを受けて街のガソリンスタンドが店頭価格をどうするかは、それぞれのスタンドにゆだねられるということです。
ニッセイ基礎研究所・上席エコノミストの上野剛志さんは「経営が厳しいガソリンスタンドを中心に、十分に店頭価格が下がらない可能性がある」と話しています。
■ガソリン価格高騰のワケ
では、なぜ今、ここまでガソリンの価格が上がってしまっているのでしょうか。
上野さんに詳しくうかがうと、コロナの影響も大きいということです。
上野さんは「コロナワクチンが普及して、世界的に経済活動が再開し、原油の需要が高まった」と話しています。
一方で、供給は、世界の国々が「もっと原油を出して」と産油国に追加増産を要求しています。しかし、主要な産油国は、コロナの再拡大でまた原油が余って価格が下がるのを心配して、追加増産を拒否しているということです。
需要が高まっている割に供給が足りていないので、値上がりするということです。
こうした状況を受けて、これから冬の季節に心配なことがあります。石油ヒーターなどに使われる灯油の価格です。
一般的な灯油用のポリタンク、18リットル当たりの全国平均価格は、今年の頭は1449円だったのが、徐々に上がって、10月からは急上昇しています。先週は1949円でしたが、今週の価格が公表され、1950円となりました。先週と比べて1円値上がりし、11週連続の値上がりとなりました。
政府は灯油の高騰にも、対策を打ち出しています。生活困窮者に対して灯油購入費の補助などを行う自治体にお金を支援する方針です。
ガソリンや灯油の価格がさらに上がっていく可能性について、上野さんは「当面は高止まりの見通し」と言っています。
なぜかというと、世界で経済活動が再開し、アメリカなど各国がビジネスや旅行客なども受け入れ始めているからです。すると、航空機燃料の需要も増加します。さらには冬を迎え、暖房需要も増加します。
これからもしばらくは高い需要が見込まれる一方で、主要産油国は大幅な増産に慎重な姿勢を続けるため、当面高止まりが見込まれるということです。
政府もいろいろな対策を打ち出し始めていますが、私たちが「ガソリン下がったよね」と実感するほど即効性があるかどうか不透明です。これから忘年会、クリスマス、年末年始のかき入れ時に燃料代の高騰が水を差さないか心配な状況は続きます。
(11月17日午後4時ごろ放送 news every.「ナゼナニっ?」より)