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ピンチ!「いぶりがっこが作れない」

2021年12月7日 16:56
ピンチ!「いぶりがっこが作れない」

雪深い秋田の保存食として、農家の人たちが昔から作り続けてきた「いぶりがっこ」。「がっこ」とは、秋田の方言で漬け物のこと。つまり、いぶした漬け物という意味です。

秋田県横手市で20年にわたり自宅で「いぶりがっこ」を作り続ける高橋キヨ子さん(73)。大根をナラやサクラの木の煙で約4日間いぶし、その後2か月程漬け込み完成させます。米の収穫が終わった秋から作業をはじめ、毎年約7000本を出荷し、近くの道の駅で販売してきました。「おいしいと言ってくれるのが私の元気のもと」と語ります。

■法改正で作るのに「営業許可」が

しかし…、高橋さんたちの日常に変化訪れたのは今年の夏前のことでした。全国で浅漬けなどの食中毒が相次ぎ、国は6月に施行された改正食品衛生法で、漬物を製造するにあたって「営業許可の取得」が必要になったのです。

厚生労働省によりますと、手洗い設備などの食品加工専用の施設を作り、許可を得る必要があるといいます。高橋さんは自宅の農器具を置く小屋で「いぶりがっこ」を作っているため、専用施設に改修するには100万円以上かかると困惑しています。私たちの取材に対し「年もとってきたし、友人や孫のぶんだけ作って販売はやめようか考えている」と語りました。営業許可を得る期限は2024年の5月。それまでに今後の方向性を考えないといけません。

横手市横手の魅力営業課の菅原徳子課長代理は「生産農家の平均年齢は70歳に近い。自宅の改修をしてまで続けるのは厳しい。規制をしないで続けられるような仕組みを作れないのか」と語りました。

いぶした香ばしさが残る独特な風味。生産者ごとに微妙に違う味わい。農家の人たちが作る「いぶりがっこ」の未来はどうなるのでしょうか。