13日は春闘集中回答日。大手企業では大幅な賃上げが相次ぎましたが、中小企業にまで広がるのか。福井のある旅館の取り組みを取材しました。

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13日に迎えた春闘の集中回答日。

記者
「（日本製鉄が）月3万円の要求に対し、それを上回る3万5000円で妥結したと」

要求を大幅に上回る賃上げを決めた日本製鉄のほか、電機、自動車などでも満額回答が相次ぎ、大企業の“賃上げムード”は高まっています。

街の人に聞きました。

IT関連（30代）
「物価高と賃金の上がり幅が、同じように追いついたらうれしい」

営業職（30代）
「（賞与で）トータルの年収では上がっています。これから（物価が）下がることが想像できないので、貯金するか」

街では物価上昇に賃金が追いつかず、まだ消費拡大にはつながらない様子も。景気改善には、働き手の7割が勤める「中小企業」の賃上げが重要となります。

賃上げは、どうしたらできるのか？　私たちは、ある旅館を訪ねました。

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福井県あわら市のあわら温泉で開業しおよそ60年になる旅館「グランディア芳泉」では、2020年から、全従業員100人以上に賃上げを実現しているといいます。その理由は“館内にある”といいます。

グランディア芳泉　山口高澄常務
「恐竜ルームの特徴は、日本の伝統工芸・組子です。伝統工芸の作りも、部屋に取り入れている」

日本の伝統工芸に“恐竜王国”福井ならではの、恐竜をかたどった装飾の数々。実はこちら、以前は団体の宿泊客に向けた畳敷きのシンプルな客室でしたが、思い切った多額の投資で、客室をリニューアルしたのです。

グランディア芳泉　山口高澄常務
「（旅行の）個人化の加速が急激になってきたので、少しデザイン性を立たせて、温泉旅館の文化にあった宿づくりを目指しています」

女子旅向けやカップル向けなど、付加価値を上げて、また来たくなるような旅館作りを進めたといいます。それに伴い宿泊料金を値上げしましたが、ホテル予約サイトでの満足度は、リニューアル前を超えて、過去最高だといいます。さらに、客室以外でも。

グランディア芳泉　部谷保総料理長
「宿泊単価も上がっているので、いいものを吟味して調理している」

セイコガニや若狭牛など、地元の食材をふんだんに使った「料理」でも付加価値を上げています。

思い切って、旅館のグレードを上げることで宿泊料を上げても客離れが起きず、利益を従業員の賃上げに回すことができているといいます。

グランディア芳泉　6年目　杉本有弥さん
「基本給でも15％以上、上げてもらってる」

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サービスや商品にかかるコストを、きちんと価格に上乗せできるか。これが、“賃上げの鍵”となります。日本全体の景気を左右する「中小企業の賃上げ」は、これから本格化していきます。