春闘集中回答日 大手で満額や要求上回る回答…中小に広がるか?カギ握る「価格転嫁」
物価上昇を上回る賃上げは実現するのか?春闘集中回答日の13日、大手企業からは大幅な賃上げが相次いでいます。中継です。
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私がいるのは、自動車や電機メーカーなどの労働組合が集まる事務所です。
ホワイトボードには、経営側から回答が届いた賃上げ額が順次、書き込まれています。
三菱電機では、月1万3000円アップの要求に対し、満額回答。
また、日本製鉄では、月3万円アップの要求に対し、これを上回る3万5000円の回答で、およそ50年ぶりの高水準です。
背景には、円安で輸出関連企業が好業績となっていることや、他社より魅力的な賃金で人材確保に繋げる狙いがあります。
――この大手企業の賃上げの勢いは、日本全体に広がりそうなのでしょうか?
まさに働き手の7割が勤める中小企業で賃上げが実現できるのか、ここが大きな焦点です。カギとなるのはこちら、「価格転嫁」です。
原材料費や人件費などのコスト上昇分を、価格に上乗せする「価格転嫁」が中小企業で行われる状況になっているのか?実態を調査しました。
こちらは、およそ1年前、公正取引委員会から「積極的に価格協議の場を設けていなかった」と指摘された企業13社です。
我々はその後の取り組みについて、アンケートを行い、9社から回答を得ました。
9社全てが公取委からの指摘後、価格協議を行ったと回答。
しかし、「取引価格を引き上げたか」については「全ての企業」に引き上げた、と回答したのは、およそ半数にとどまりました。
――交渉したものの、引き上げとならなかった理由はわかっているのでしょうか?
ここが重要なのですが、「自社、つまり、大企業の方にも取引先はいるわけですので、そちらにも価格引き上げを受け入れてもらえなければ、下請けなどの取引価格の引き上げを継続することは難しい」という説明がありました。
また、「現在の発注価格が適正と判断した場合」は、引き上げていない、という回答もありました。
つまり、中小企業の方も、コスト上昇について、説得力のあるデータなどを示す必要があるということです。
適切な価格転嫁で個々の企業が利益を得て、賃上げ、消費、経済の好循環につながるよう、すべての企業の意識が重要となっています。