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【解説】“下請けへの支払い”減額 公取委がコストコに勧告 中小企業の賃上げは?

2024年3月12日 20:11
【解説】“下請けへの支払い”減額 公取委がコストコに勧告 中小企業の賃上げは?

日本でも展開するアメリカの大手会員制スーパー「コストコ」の日本法人が、下請け企業に支払う代金を不当に減らしていたとして、公正取引委員会が法律に基づき、再発防止の勧告を行いました。コストコがどのような禁止行為をしていたのか、また、公正取引委員会は何を問題視したのかを、経済部・企業取材担当キャップの渡邊翔さんが伝えます。

■支払い“減額”の構図 “常習的”だったた可能性も

藤井貴彦キャスター
「下請け企業に支払う代金を不当に減らしていたというのは、先日、日産自動車をめぐっても同じようなニュースをお伝えしたような気がしますが、今回はどのような形で減額が行われていたんでしょうか?」

渡邊翔 経済部・企業取材担当キャップ
「今回、勧告を受けたのはコストコの日本法人です。『減額』の構図というのは、コストコは、自社ブランドの商品のセールを行う際に、セールで値引きしていた分の金額を一方的に減らした額というのを下請け企業に支払っていたということになります。その期間は約2年間、総額は約3350万円にのぼります。ただ、公正取引委員会はかなり前から常習的に行われていた可能性もあるというふうにみています」

「さらにもう1つ、下請け企業から商品を受け取った際に品質検査をしていないにもかかわらず、『不備があった』ということで、あわせて約200万円分の商品を返品していたということです。これはいずれも下請法という法律で禁止された行為ということになります」

■下請け企業が賃上げできなくなった可能性も

藤井キャスター
「公正取引委員会は今回、どの点を特に問題視しているんでしょうか?」

渡邊キャップ
「今回のコストコの減額によって、下請け企業の賃上げができなくなっていた可能性があるというふうにみています。実はコストコのパートやフルタイムの求人の時給がかなり高いことが以前から話題になっていました。コストコのウェブサイトをみますと、パートタイムの時給は最低でも1500円あったということです」

藤井キャスター
「もちろん、仕事の内容にも時給というのは反映されてくると思いますけど、一般的にいうと少し高いような気がしますね」

渡邊キャップ
「ただ、その高い時給の元手が、もし今回のような形の不当に下請けいじめをすることによって捻出されていたとなれば、これはかなり悪質です。公取委が調査を行った下請け企業からは、『そもそもコストコとの取引価格が利益ギリギリなのに、さらに減額を要請されることには納得がいかない』という声が上がっています。ただ、それでもコストコとの取引金額が非常に大きいのでやらざるを得ない。その結果、利益がなくなってしまうというわけなんです」

藤井キャスター
「コストコ側は、どのような話をしているんでしょうか」

渡邊キャップ
「コストコは『勧告を真摯(しんし)に受け止めて業務の改善に努めてまいります』などとコメントしています」

■中小企業の賃上げへ 公取委が取り組み強化

藤井キャスター
「今、まさに春闘の時期で賃上げ交渉が行われている最中ですから、こうした不正で中小企業が賃上げすることができないような状況にはなってほしくないですね」

渡邊キャップ
「公正取引委員会も近年、取り組みを強化しています。先週の日産、そして今回のコストコと下請法に違反した企業に相次いで勧告を行っていますが、他にも、例えば2022年には、中小企業が原材料費ですとか、賃上げのための人件費を上げた分、いわゆるコストを取引価格に上乗せしていく交渉を元請け側とする、この交渉に積極的に応じてこなかった企業の名前の実名公表を行っています。今、まさに春闘というのは佳境に入っていますから、ここに合わせて再び、同じように企業の実名を公表する可能性もあるのではないかというふうにみています」

「公取委の内部からは、こうした取り締まりは、『あくまで法律違反を取り締まることが目的なんだ』としつつも、『公取委の取り組みによって賃上げに少しでも良い影響があるならば、それは良いことだと思います』というような声も聞かれます」

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