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“コーンフレーション”トウモロコシの価格が急上昇 給食にも影響

2022年4月27日 21:19
“コーンフレーション”トウモロコシの価格が急上昇 給食にも影響

トウモロコシの価格が急上昇しています。「インフレ」ならぬ「コーンフレーション」とも呼ばれる影響は、給食にも広がりそうです。

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東京・墨田区の鉄板焼きハンバーグのお店「モンブラン吾妻橋店」では、鮮やかな黄色の甘い粒・コーンが、ジューシーな手ごねハンバーグの傍らで彩りを添えていました。

モンブラン 畑山順義料理長
「(1日に使うコーンは)26~27kgくらいですかね。欠かせないですね」

この店ではサラダやコーンスープなど、ほとんどのメニューにコーンを使用しています。しかし、数日前、驚きの知らせがありました。

畑山料理長
「再来月から(コーンが)値上げということを聞いております。4割アップという話を聞いてますので、うちの方では苦しいですね」

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コーンの一大産地の米・シカゴ商品取引所では、コーンの取引価格が急上昇しました。1月からの3か月で約1.3倍に値上がりしました。

既に、ひき肉や玉ねぎなど他の材料が値上がりしている中、畑山料理長は「厳しい状況」と話します。

畑山料理長
「少し上がっただけでもちょっと…うち薄利多売でやってますので、利益率はすごく抑えているんです」

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なぜ今、コーンが急激に値上がりしているのでしょうか。世界経済に詳しい第一生命経済研究所首席エコノミスト・永濱利廣さんに聞きました。

第一生命経済研究所 首席エコノミスト 永濱利廣さん
「コロナショック以降の需要の高まりであったりとか、世界的な天候不順で不作になったりとか、そういう要因で上がっていたところにウクライナ」

ウクライナ産のコーンは、世界で輸出されるコーンの約13%を占めています。永濱さんは「『ロシアの軍事侵攻で輸出量が減るのでは』という懸念から、世界的にコーンの価格が上がっている」と分析しています。

永濱利廣さん
「2010年に1回、ガッとあがったときがあったので、それ以来の状況ですね。一言で言うと、『コーンフレーション』」

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インフレならぬ「コーンフレーション」とさえ言えるほどの急激な値上がりの影響は、コーン以外の食材にも広がる可能性があります。

神奈川県でブランド豚「湘南ポークオリーブプレミアム」を育てる農家に、話を聞きました。

藤沢市種豚センター 和田尊取締役
「豚のエサって、主に60%ぐらいが穀物。その中でも、特にトウモロコシというのがとても多い」

主要な餌となるコーンの価格上昇で、豚の餌代は1トンあたり約2万円上昇しているといいます。

和田取締役
「月に300トン、エサを使う農場であると、600万円ほど今までのエサ代に、さらに上乗せして、支払いがかかってくる。これが毎月かかってくるというのは、大変経営に厳しい状況だと」

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豚肉の生産コストの上昇は、学校給食にも影響を与えています。27日、千葉市立新宿小学校の給食室には、大量の厚揚げが用意されていました。

千葉市立新宿小学校 明妻紀子栄養教諭
「回鍋肉の中に、生揚げ(厚揚げ)を入れる。そして、スープの中の肉を部位を変えて、鶏の胸肉に変更しています」

本来、豚肉とキャベツで作る回鍋肉には、豚肉に加え、厚揚げが入っていました。魚や野菜、油などさまざまな食材が値上がりする中、限られた予算の中で作らなければならない給食。栄養とボリュームを維持しながら、価格の安い食材を取り入れる工夫をしていました。

厚揚げが入った回鍋肉を、子供たちはおいしそうにほおばっていました。

――厚揚げ気づいた?
「(厚揚げ)入っていたかな?」
「ああーあれか。めっちゃおいしかった」

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値上げ続きの今、食卓への影響はまだ止まりそうにありません。