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経団連十倉会長 4年目始動 避けられない日本の2つの制約にどう向き合うか

2024年5月31日 6:45
経団連十倉会長 4年目始動 避けられない日本の2つの制約にどう向き合うか

財界総理と呼ばれる経団連会長。十倉雅和会長は4年目に入り、最後の年を迎えるにあたって、持続可能で公平公正な経済社会を実現するために日本が抱える2つの大きな制約条件を解決していく姿勢を示しました。

2021年6月に、急きょ、経団連会長に就任した十倉雅和会長(住友化学会長)は、会長として最後の年を迎えるにあたり、報道陣のインタビューに応じました。

十倉会長は、高齢者の数がピークを迎える2040年ごろまでに、持続可能で公平公正な経済社会を実現したいとしていて、そのために「我が国には二つの避けて通れない大きな制約条件がある」と話します。

一つ目は、少子高齢化・人口減少です。

人口減少が進んで働き手不足が深刻化する中で、女性や外国人など、多様な人材の活躍を実現したいとしています。

外国人の受け入れについては、日本は総人口に占める割合が2%程度と他の国々と比べて低く、給与水準も高くないなどの問題点を指摘した上で、外国人の働き手に魅力的な国と思ってもらうことに加えて、その家族にも住みやすい環境作りを進めていく姿勢です。

その実現に向け経団連はきょう5月31日、「外国人政策委員会」を新設します。

外国人労働者の受け入れ環境の整備やその子どもの教育問題などについて議論し、提言をまとめ、政府などに働きかける方針です。

そして二つ目の制約条件は、日本が資源を持たない島国だということです。

そのため十倉会長は、「イノベーティブなプロダクト(革新的な製品)や技術を出さなくてはいけない」、「貿易投資立国、そして科学技術立国にならなくてはいけない」とし、日本の技術力向上の重要性を強調しています。技術力を高めることが脱炭素の促進や国内投資の増大、海外からの投資呼び込みにつながり、日本の経済を成長させると説明しました。

十倉会長は、1年後に経団連会長としての任期満了を迎えます。

自身の後任の会長については、「もう決めているというようなことは一切ない」と前置きした上で、「社会課題が山積しているので、社会・経済全体のことを大局的に捉えられて、経済界の意見をまとめて発信できる方を選びたい」と述べています。