文言追加のウラに、ある"思惑"~「新しい資本主義」実行計画と「骨太の方針」~
政府は7日夕方の臨時閣議で「新しい資本主義」の実行計画と経済財政運営の指針、いわゆる「骨太の方針」を決定します。そこに、ある一文が付け加えられました。そのウラにある"思惑"とは?
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まもなく決まる岸田総理肝いりの経済政策「新しい資本主義」の具体策。資産所得倍増プランを年末までに策定することなどが盛り込まれます。
日本テレビが入手した「新しい資本主義」の実行計画には、「今回は資本主義の歴史上、3回目の大きな転換の契機であり、新しい資本主義すなわち資本主義の第4ステージに向けた改革を進めなければならない」「新たな官民連携によって社会的課題の解決をめざしていく」などと書かれています。
「新しい資本主義」は「人」や科学技術、スタートアップ、GX(グリーン・トランスフォーメーション)やDX(デジタル・トランスフォーメーション)などの4分野に重点的な投資を行うことが柱となっています。
ーー「人への投資」とは具体的にはどんなことなのでしょうか?
成長産業への転職や個人のキャリアアップ支援のため、2024年度までの3年間で4000億円規模を拠出します。また、男女の賃金格差の解消をめざし、企業に開示を求めたりします。
さらに、個人投資家向けの優遇税制、いわゆるNISAやiDeCoの拡充をおこなうなど、「資産所得倍増プラン」も年末までに策定します。
一方、「骨太の方針」では、国際情勢の緊張の高まりを受け、防衛費は増額幅を明示しないものの、防衛力を5年以内に抜本的に強化する、と明記されました。また、「重要な政策の選択肢をせばめることがあってはならない」との文言が新たに書き加えられたんです。
ーーその一文にどういう意味があるのでしょうか?
この文言を入れることで、岸田総理が掲げる防衛力強化に向け、今後、防衛費を大幅に増額する余地を残しているんです。ある財務省幹部は「安倍元総理の一派に押し切られてしまった。今後、様々な局面で大幅な財政出動を主張するのではないか」と危惧しています。
肝心の財源については言及を避けていることもあり、今後、巨額の赤字を抱えた日本の財政をどのように立て直すのか、政府にはその道筋を示す責務があります。