松野官房長官 午後会見(6月3日) 防衛費増額の“骨太”明記は
松野官房長官 午後会見(6月3日) 防衛費増額の“骨太”明記は
松野官房長官は3日午後の会見で、安倍元首相がGDP比で2%以上の防衛費増額を骨太の方針に明記するように求めていることについて「私の立場からコメントすることは差し控えたい」と述べました。
<会見トピック>
▽防衛費増額
▽日本大学
▽雲仙普賢岳火砕流
▽細田議長不信任決議案
▽チュニジア外相表敬
▽GoToトラベル
▽出生率
▽原子力依存度低減
会見の概要は以下の通りです。
●本記――防衛費増額について。
安倍元首相がGDP比で2%以上の防衛費増額を骨太の方針に明記するよう求めた。
原案には防衛費の具体的数値目標は盛り込まれていないが、政府としてどのように修正するのか、その考えがあるか。
(松野官房長官)骨太の方針については与党においてご議論をいただいているところであり、ご議論の内容に関して私の立場からコメントをすることは差し控えたいと思います。
いずれにせよ政府としては防衛分野について新たな安全保障戦略等の策定や、今後の予算編成過程において、抜本的な防衛力強化の内容、その防衛力強化の内容に相当する防衛費の規模、防衛費増の裏付けとなる財源のあり方を、一体的に検討していく考えであり、骨太方針についても引き続きこうした考えをもとに、検討していきたいと考えております。
――日本大学。
前の理事長の脱税の罪が確定するなどしたことについて、大学を評価する外部機関は不適合と判定し、国の補助金が受けられなくなることになった。
こうした中、新しい理事長に卒業生で作家の林真理子氏が就任する見通しだが、一連の経緯に対する政府としての認識と、新しい理事長に期待することは。
(松野官房長官)日本大学において田中前理事長が有罪判決を受けるなど、ガバナンス不全に陥る事態となったことは、極めて遺憾であり、学校法人としての信頼を回復するために、理事長としてふさわしい人物を選任し、速やかに新体制を発足させることが必要であると認識をしています。
現在、日本大学において新理事長選任の手続きを進めていると聞いています。
正式決定前の段階で個別の人事に関するコメントは差し控えたいと思いますが、いずれにしても、新理事長には日本大学の信頼回復にご尽力をいただきたいと考えています。
――東日本大震災、阪神・淡路大震災に並んで31年前の6月3日に発生した雲仙普賢岳の火砕流は非常に災害の危険を実感した災害だった。
改めて災害への準備や思いを。
(松野官房長官)ご指摘のありました災害に関しては近年における極めて大きな災害でありますし、火山に関する、関わる事故の中においても、様々な防災に対する教訓を得たものでありました。
まず第一には、改めて被害に遭った皆さまや地域の方々にお悔やみ、お見舞いを申し上げることからでありますけれども、そういった過去の災害事例というのをしっかりと検証しながら生かしていきたいと考えております。
――立憲民主党は細田衆議院議長に対する不信任決議案を提出する方向で調整。
国会のことではあるが、政府の受け止めは。
与党から、細田議長に対して説明責任を求める声があがっているが、説明責任を果たすべきとお考えか。
(松野官房長官)衆議院議長に関する報道や政党における動きについて行政府の立場でコメントをすることは差し控えたいと思います。
――立憲民主党は議長不信任案に加えて、岸田内閣に対する不信任決議案も提出する方向で調整を進めているとのことで、理由としては政府の物価高騰対策が不十分などを挙げているが、これについての受け止めは。
(松野官房長官)現状において、今ご指摘の不信任案等に関して、まだ発出されたものではございませんので、現状、政府としての立場で発言を控えさせて頂きたいと思います。
――チュニジア外相の表敬訪問。
本日午前チュニジアのジェランディ外相の表敬訪問の中でTICAD8に向けた協力について長官と意見交換が行われた。
本日の表敬の意義について。
また外相からはTICAD8に際した岸田総理のチュニジア訪問を求める大統領親書が送られた。
要請に対する政府の方針は。
(松野官房長官)本日午前私は訪日中のジェランディ・チュニジア外務大臣の表敬をお受けしました。
面会においては本年8月下旬に開催予定のTICAD8に向けて両国が緊密に連携していくことを確認をいたしました。
またウクライナ情勢や拉致問題を含む北朝鮮情勢などの地域情勢についても意見交換を行い、連携して対応していくことで一致をいたしました。
また本面会において、ジェランディ大臣から、サイード・チュニジア大統領から岸田総理大臣宛ての親書をいただき、TICAD8の機会における総理のチュニジア公式訪問の招待がなされました。
TICAD8については引き続き、新型コロナウイルスの感染状況等を踏まえる必要がありますが、諸般の事情が許せば、チュニジアの首都チュニスにおいて本体会合およびビジネスフォーラムを対面で開催をする予定であります。
また、総理の出張についても、現時点で予断することはできませんが、総理は諸般の事情が許せば、チュニジアを訪問し、TICAD8に出席する予定であり、実りある成果が得られることを期待をしています。
――GoToトラベルについて。
政府は、6月1日から水際対策を緩和し、入国者数の上限を2万人に引き上げた。
10日からは、外国人観光客の受け入れを再開する。
一方、国内の観光需要喚起策も、GoToトラベルは2020年末から停止されたままで、これまで自民党からは、早期再開に向けて提言が出されている。
GoToトラベルの再開時期を含め、政府の検討状況は。
(松野官房長官)現在、観光需要喚起策として県民割支援の対象に、隣接県や地域ブロックを追加をし、需要喚起の取り組みへの支援を講じているところであります。
全国一律に観光需要の底上げを図るGoToトラベル事業の実施については、今後の感染状況等を見きわめつつ、専門家の意見も伺って、引き続き担当省庁において注意深く検討していくものと承知をしております。
――本日、厚労省が発表した人口動態統計によると、合計特殊出生率が1.30で、前年から0.03ポイント減ったということで、出生数が過去最少更新。
なかなか子供が生まれないというのは、子供を育てにくい社会環境があると思うが、そもそも今日本がモデルとしている共稼ぎや核家族などの家族のあり方自体が、たくさんの子供を抱えるということに無理があるのではないか。
(松野官房長官)今お話をいただきました通り、厚生労働省から人口動態統計の概数が公表され、令和3年の合計特殊出生率が1.30と前年より0.03ポイント低下をいたしました。
これは29歳以下の母親の年齢階級で出生率が低下をしたことが影響したものと考えられますが、新型コロナウイルス感染症の影響等も含め、この統計から申し上げる要因について、要因は申し上げることは困難であるかと思います。
その上で、少子化の進展は、わが国の社会経済活動の根幹を揺るがしかねない問題であります。
わが国の最優先で取り組むべき課題の一つであり、しっかりと対策を講じていくことが必要であると考えております。
少子化の背景でございますけれども、若者の経済的不安定さや長時間労働、子育てに係る経済負担など結婚や出産、子育ての希望の実現を阻む様々な要因が絡み合っているものと考えております。
政府としては、少子化社会対策大綱に基づき、不妊治療への支援、保育の受け皿整備、男性の育児休業取得促進など総合的な少子化対策を推進をし、子供を安心して産み育てることができる環境の確保を図っていく考えであります。
――原子力について。
今回の骨太の方針の原案では、昨年に記載があった「可能な限り依存度を低減」という文言が消え「最大限活用する」と盛り込まれた。
福島第一原発事故以降、エネルギー基本計画では一貫して原発の依存度低減を明記してきたが、政府としてそういった方針を転換するという趣旨なのか、しないのであれば、今回、依存度低減という文言を削った理由は。
(松野官房長官)昨年10月に閣議決定したエネルギー基本計画において、原子力については安全を最優先し、再生可能エネルギーの拡大を図る中で、可能な限り原発依存度を低減するとの方針を示しており、その方針に変わりはありません。
今回の骨太方針原案におけるエネルギー安全保障の項目では、当面の難局を乗り越えるための方針が示されていますが、ロシアによるウクライナ侵略や電力需給の逼迫といった状況を踏まえて、再エネ、原子力などのエネルギー安全保障および脱炭素の効果の高い電源を最大限活用するとの方針を示したものであります。
引き続きエネルギー安全保障を確保した上で2030年度46%削減、2050年カーボンニュートラルという野心的な目標の実現に向けて脱炭素化の取り組みを進める考えであります。
――方針を変えないのであれば、既存の文言はむしろ残しておくべきかと思うが、その文言を削った理由は。
(松野官房長官)先ほどお答えをした通りで、矛盾するものではないという風に考えておりますが、詳細は経済産業省にお尋ねをいただきたいと思います。
――では再生可能エネルギーの拡大で原子力の依存度を低減させていくというのは堅持したままで、それでいて最大限原発を活用していくということは、あくまで今利用できる原発の活用であって、新増設やリプレースという趣旨を指して最大限活用ということではないのか。
(松野官房長官)先ほど申し上げましたけれども方針に変わりはありません。
今回の骨太の方針原案においては、当面の難局を乗り越えていくためにということで書かれたものであります。
詳細につきましては、先ほど申し上げましたけれども、経済産業省にお尋ねをいただきたいと思います。