松野官房長官 午前会見(6月2日) 島根原発再稼働「地元の理解が得られたことは重要」
松野官房長官は2日午前の会見で、島根県知事が中国電力島根原子力発電所2号機の再稼働への理解を表明したことについて「地元の理解が得られたことは重要だ」と述べました。
<会見トピック>
▽島根原発再稼働
▽最低賃金引き上げ
▽ロシア国債デフォルト認定
▽日米韓・北朝鮮担当高官協議
▽ワクチン接種率・接種券デジタル化
会見の概要は以下の通りです。
──島根原発について
島根県の丸山知事は先ほど、中国電力島根原発2号機再稼働への同意を県議会で答弁した。地元手続きを完了し、中国電力は早ければ2023年度の再稼働を目指すとしている。政府としての受け止めと今後の対応は。
(松野官房長官)
本日午前、丸山島根県知事が県議会において、中国電力島根原子力発電所2号機の再稼働への理解を表明されたものと承知をしています。
どの発電所であってもいかなる事情より安全性を最優先し、原子力規制委員会によって新規制基準に適合すると認められた場合にはその判断を尊重し、地元の理解を得ながら再稼働を進めるというのが政府の方針であります。
原子力は安定供給、経済効率性、脱炭素等の観点から重要な電源であります。特に現下のエネルギーの供給制約や燃料価格の高騰が続く中で安全性を大前提として最大限活用していくことが必要であると考えています。
こうした中で島根原発2号機の再稼働にあたり、地元の理解を得られたことは重要であると考えています。引き続き中国電力においては安全確保を最優先に対応していただきたいと考えております。
──政府は最低賃金の引き上げについて、2025年度にも全国平均で1000円以上を目指す方針を示すとの一部報道があるが、政府の現在の検討状況は。
(松野官房長官)
政府としては、最低賃金についてはできる限り早期に最低賃金の全国加重平均が1000円以上となることを目指すこととしています。
──島根原発2号機の再稼働地元同意。この原発は全国で唯一の県庁所在地に位置し、30キロ圏内に45万人がいる。広島県・岡山県を含む広域の避難計画の実効性が課題となるが、実効性を担保する、あげていくために何が必要か。
(松野官房長官)
先ほど申し上げた通り、この発電所の再稼働に向けてはいかなる事情より安全性を最優先にし、原子力規制委員会によって判断をされていくということでございます。
詳細については関係機関の方にお問い合わせいただければと思います。
──最低賃金。先ほども長官は、これからも1000円を目指していくということだったが、そもそも、最低賃金は、労使と有識者からなる中央最低賃金審議会で決められるものだ。政府としては、それに対してどのようにアプローチしていく考えか。
(松野官房長官)
最低賃金の具体的な引き上げ額は毎年度、経済状況等も踏まえ、最低賃金法に基づき、厚生労働省の審議会で議論し決定をすることとなります。
政府としては、中小企業の生産性の向上支援や下請け取引の適正化など、賃上げしやすい環境整備に取り組みつつ、最低賃金についてできる限り早期に全国加重平均1000円以上となることを目指してまいりたいと考えております。
──日米韓の北朝鮮担当高官協議について。米国務省は韓国のソウルで船越アジア大洋州局局長やソン・キム北朝鮮担当特別代表らによる日米韓の北朝鮮担当高官協議を実施することを発表した。尹錫悦政権発足後、初の対面での3か国の担当高官の協議、北朝鮮による核実験の兆候や弾道ミサイルの相次ぐ発射など緊張が高まる中で、3か国の担当高官が協議を行うことの意義についてどのように考えるか。
(松野官房長官)
6月3日に韓国ソウルにおいて北朝鮮に関する日米韓協議が開催をされ、船越外務省アジア大洋州局長が出席をする予定となっております。
同協議には韓国側から金健韓国外交部朝鮮半島平和交渉本部長が、米国側からはソン・キム米国北朝鮮担当特別代表が出席をする予定であります。
明日の協議について、予断を持ってお答えすることは差し控えたいと思いますが、核・ミサイル活動を活発化させる北朝鮮への対応について日米韓で緊密に意思疎通を行い、北朝鮮の完全な非核化に向けて日米、日米韓で連携していく考えであります。
──ロシアのデフォルトについて。世界の金融機関で構成するクレジットデリバティブ決定委員会が、1日にロシア政府が外貨建ての国債の利子を支払わなかったことを支払い不履行に当たると判断している。市場からは事実上のデフォルトとみなされる可能性が高いが、政府の受け止めと、日本の経済や金融に与える影響をどうみているか。
(松野官房長官)
昨日、4月4日が償還期限となっていたドル建てロシア国債について、一部の利払いが行われなかったとの認定をクレジットデリバティブ決定委員会が行ったことについては承知をしています。
ロシア国債をめぐる動向が日本経済や市場や投資家に与える影響について、予断を持ってお答えすることは差し控えたいと思いますが、その上で、日本からのロシア向け債券投資が対外債権投資全体に占める割合は限定的であり、ロシア国債の動向が金融機関を含む日本の投資家に及ぼす直接的な損失は限定的であると承知しています。
いずれにせよ、引き続き緊張感をもって市場動向や経済状況を注視していきたいと思います。
──新型コロナウイルスワクチンについて。3回目の接種率が約6割となった。実績への評価と課題、また感染状況が比較的落ち着いており、国民の危機感も薄れている中で、今後4回目接種も含めていかに接種率をあげていくのか、政府の方針は。また、以前はワクチン接種担当の堀内前大臣が接種券のデジタル化を検討する考えを示していたが、その後の検討状況は。
(松野官房長官)
全人口に対する3回目接種率は昨日公表時点で59.2%となっており、G7ではイタリアドイツに次ぐ水準となっています。一方で、20代30代はまだ4割台にとどまっています。
新型コロナに感染した場合、若い方でも重症化するケースもあり、いわゆる後遺症の心配もあることから、高齢者はもとより、若い方についても3回目接種は重要であります。
また先月から4回目の接種が始まっていますが、重症化予防の観点から、接種時期が来た対象者にはできるだけ、できる限り早く接種をいただきたいと考えています。
3回目4回目接種の促進に向けて引き続き自治体等と緊密に連携をするとともに、さまざまな媒体を通じて国民の皆さまに対するわかりやすい情報発信に努めてまいりたいと考えております。
接種券のデジタル化を含めた予防接種事務のデジタル化については、国民の利便性の向上、自治体や医療機関の事務負担の軽減の観点から重要と考えています。関係省庁において今回の新型コロナワクチン接種の特例臨時接種にとどまらず、定期接種も含め総合的に検討していると承知をしております。