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無人駅を有効活用へ 沿線“まるごとホテル”や“タヌキ”で聖地化も…

2024年2月7日 22:04
無人駅を有効活用へ 沿線“まるごとホテル”や“タヌキ”で聖地化も…

いまや全国の約半数が無人駅となっている日本の鉄道。無人駅を有効活用し、地域を盛り上げるプロジェクトが、東京都のJR青梅線や静岡県の大井川鉄道で始まっていました。

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まだ雪が残る東京・多摩地域を走るJR青梅線。“旅の始まり”となるのは、駅員のいない「無人駅」です。この無人駅を有効活用しようと、あるプロジェクトが始まっています。

沿線まるごと 牧秀明さん
「(青梅線)沿線全体をホテルに見立てて、地域を盛り上げるようなプロジェクトをさせていただいております」

東京・立川駅と奥多摩駅を結ぶ青梅線。そのうち青梅駅と奥多摩駅間は“東京アドベンチャーライン”と呼ばれ、都内にいながら、さまざまなアクティビティーが楽しめる自然豊かな場所です。

一方で過疎と高齢化も進んでいます。そこで立ち上がったのが、駅舎や空き家を利用し、沿線を“まるごとホテル化”するというプロジェクトです。JR東日本とベンチャー企業がタッグを組みました。

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その第1弾が、鳩ノ巣駅周辺です。無人駅ですが、将来的にはホテルのフロントになるといいます。

沿線まるごと 牧秀明さん
「こちらが将来ホテルのフロントになる場所です」

駅から少し行くと、施設の建設が進められていました。

沿線まるごと 牧秀明さん
「2階がレストランになりまして、1階がホテルのラウンジ」

築100年以上という古民家を改修していて、4月にはレストランとサウナ、そして年末には宿泊施設がオープン予定です。新たな雇用も創出されるということです。

沿線まるごと 牧秀明さん
「東京の一番西の端から、全国に広がるような事業モデル、地方創生のモデルができるのかなと」

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いまや全国の約半数(48.2%)が無人駅となっている日本の鉄道(2019年度国交省調べ)。蒸気機関車やレトロな車両で知られる静岡県の「大井川鉄道」も、多くの無人駅を抱えるローカル線です。

無人の神尾駅(静岡・島田市)に降り立つと、駅員の代わりに出迎えてくれたのは、「タヌキ」の置き物でした。

しかも、1体だけではありません。実はこの駅、1月から“タヌキ駅”として聖地化しようというのです。

大井川鉄道 広報室次長 山本豊福さん
「タヌキというのが“他を抜く”といって、縁起のいい動物といわれてる。神尾駅をタヌキ駅化、タヌキ聖地駅化しようという」

もともとホーム周辺にタヌキが置かれていたのが由来で、1月からはタヌキを“増量”。なかには、ご利益のありそうな金色の体の“ゴールデンタヌキ”もありました。

その背景には、台風による被害がありました。

大井川鉄道 広報室次長 山本豊福さん
「2022年の9月に台風災害を受けまして、一時期全線で運転見合わせていた」

2022年の台風15号で、大雨により土砂崩れなどが発生し、鉄道が甚大な被害を受け、現在も約20キロの区間で運転を再開できていません。

復旧に必要な額は20億円ほど。少しでも収益をあげるため「無人駅を目的地にしてほしい」と“タヌキ駅化”しました。

静岡市からきた客
「どれもこれもカワイイ」

駅にはさっそくタヌキ目当ての客が。“パワースポット”としても注目され始めていて、なかには受験生の姿もありました。

浜松から来た受験生
「国家試験です。来週です。合格祈願になればと思って」

カプセルトイのおみくじを引くと…

浜松から来た受験生
「大吉だ。よかったです」

1人でも多くの人に鉄道を利用してもらい、無人駅、そして沿線を活性化したいということです。