黒田総裁、最後の会合…“異次元緩和”策の成果強調「プラスの効果がはるかに大きかった」
歴史的な物価高の中、10日、「物価の番人」と呼ばれる日本銀行で、黒田総裁が最後の金融政策決定会合を終えました。次の体制に、どのように日本の金融政策を引き継ぐのでしょうか。広芝学の報告です。
アベノミクスとともに、10年前、「2%の物価上昇の実現」を目標に始まった黒田日銀体制。目標を達成できなかったものの、黒田総裁は会見で、成果を強調しました。
黒田総裁「春季の労使交渉では、労使双方からこれまでとは違う声が聞かれ始めており、時間がかかるとしても、賃金の上昇を伴う形で、物価安定の目標を持続的安定的に実現することは可能であると考えている」「副作用といわれるものについても、副作用の面よりも金融緩和の経済に対するプラスの効果がはるかに大きかった」
日本がデフレに苦しんでいた2013年、日銀総裁に就任した黒田総裁は“異次元緩和”策を放ち、当時、企業業績を圧迫していた円高は円安に転じました。
しかし、その後も賃上げを伴う2%の安定的な物価上昇は実現できず、また、去年からは急速な円安による物価高や債権市場の歪みなど副作用が目立つ形となっていました。
多くの難題を抱えたまま、今後の金融政策の運営は来月9日に発足する植田新体制に委ねられることになります。