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値上げの波 季節の風物詩「年越しそば」「みかん」にも… スキー場はリフト料金で“苦渋の決断”

2022年12月9日 20:53
値上げの波 季節の風物詩「年越しそば」「みかん」にも… スキー場はリフト料金で“苦渋の決断”

値上げの波は、年越しそば、みかんなどにも押し寄せています。あるスキー場はリフト料金について、“苦渋の決断”をしたといいます。値上げに悩む現場の本音を取材しました。

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今週、一部のコースがオープンした群馬・片品村にある丸沼高原スキー場では9日、多くの人がスキーなどを楽しむ様子が見られました。リフト乗り場には、長い列ができていました。

スキー客
「きょうが初滑りです。気持ちいいです」

「楽しいですね」

「思ったより(雪が)降ってて、びっくりしました」

年末にはすべてのコースがオープンする予定で、これからさらに利用客が増えることが予想されます。ただ、スキー場はリフト料金について、ある苦渋の決断をしたといいます。

丸沼高原スキー場 千明靖久さん
「昨年に比べて、大人の料金については、値上げをさせてもらいます」

大人のリフト料金の値上げです。物価や電気代の高騰などの理由で、去年4900円だったトップシーズンの大人のリフト料金を、今月17日から5500円へ値上げするといいます。一方で、利用客が多いという小学生から高校生までについては、値段を据え置きに。スキー場離れを防ぐ狙いがあるといいます。

スキー場では、降雪機やリフトなどを使用するのにかなりの電気代がかかるといいます。

丸沼高原スキー場 千明靖久さん
「平日、並走しているリフトは1本止めるとか」

また、降雪機の使用を多少抑えるなど、節電対策をしながら営業していくということです。

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東京・品川区にあるそば店は、“さまざまなものの値上げの影響で営業が厳しい”と話していました。

そば切り うちば 店主・中村英司さん
「一番きついのは、油と電気代ですかね。光熱費も2年前に比べたら、1.5倍ぐらいにはなっちゃっている」

さらに、そばに欠かせないそば粉や小麦粉も価格が高騰していて、去年に比べ、そばだけで1日1000円ほど値上がりしていると話します。こうした影響もあって、大みそかに欠かせない年越しそばを値上げすることにし、去年より100円値上げして販売するといいます。

そば切り うちば 店主・中村英司さん
「値上げっていうのは、店の存続が厳しくなるくらい、精神的に追い込まれているのが正直なところ」

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また年末、こたつに入って食べる機会が多いみかんにも、値上げの波が押し寄せています。

東京・世田谷区にあるスーパーを訪ねました。

信濃屋代田食品館 鈴木誠統括本部長
「コロナ前と比べますと、(仕入れ値は)だいたい1割から、産地によっては2割くらい(仕入れ)値段のほうが上がっている」

例えば、今、数が多く出ているという愛媛産のみかんの場合は――

信濃屋代田食品館 鈴木誠統括本部長
「例年は399円が、今年は459円。50円ほど値段が上がっています」

また、お歳暮用としても人気だという愛媛産のブランドみかん「紅まどんな」については、1個500円ほどと高価なため、現状では値上げをしていないといいますが、今後、値上げする可能性もあるといいます。

生産現場では今、何が起きているのか、愛媛産のみかんの生産者に“頭を悩ませていること”を聞きました。

愛媛県のみかん農家 田中和雄さん
「素材に対する高騰ですね。ビニールの値上がり、肥料・農薬・その他、全部上がっているんで」

「ハウスミカンを作るのに、重油代の占めるパーセンテージがかなり大きい」

ハウス内を暖かくするのにボイラーを使用するため、重油の価格高騰は負担が大きいといいます。

愛媛県のみかん農家 田中和雄さん
「どこまで続くのか不安」

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あらゆるものに押し寄せた値上げの波は、来年もまだ収まりそうにありません。