旬のサクランボに異変「実が2つに…」去年の猛暑が影響か 梅も寒暖差の影響で…
この時期“旬”を迎えるサクランボに異変が起きています。収穫量が平年より減少する見込みですが、その原因は去年の暑さが影響しているとみられています。さらに梅も寒暖差の影響で凶作になっているということです。
31日、横浜市のパフェ専門店で提供されていたのは、真っ赤でつややかな高級サクランボ、「紅秀峰」を使ったパフェです。
女性(50代)
「毎年いただいている。今年も出たら早く行きたいと待っていた」
しかし、このサクランボに異変が…。
ル・パルフェ馬車道 須藤兼之店長
「ちょうど今ぐらいから、サクランボって毎年(入荷が)始まる。今年はちょっと遅れていまして…」
例年であれば、1週間ほど前から入荷が始まりますが、今年は5月31日が初めて。サクランボに何が起きているのか…。
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生産量日本一の山形県へ行ってみると…
こんた農園 今田光博さん
「ことしは双子果といって、実が2つになってしまうものが、たくさん出てきて困っています」
2つの実がくっついたようなかたちになる「双子果」。規格外として扱われ、果実として出荷できない”いびつなサクランボ”が増えているのです。その原因は…
こんた農園 今田光博さん
「昨年の夏の猛暑が原因と言われています」
山形市では去年、28日の猛暑日を記録。年間の猛暑日日数が観測史上、最多となりました。
この異例の暑さの影響とみられる「双子果」。通常1本しかない花のめしべが、2本に増えてしまったといいます。県などの調査によると、ことし、山形県のサクランボの収穫量は、平年より約1割減少する見込みだといいます。
こんた農園 今田光博さん
「味はほとんど変わらないです。大変おいしいですが、サクランボ見た目も大切ですので。収入減ってしまいますので、悔しい気持ちはありますよね」
通常、「双子果」は廃棄することが多いといいますが、「売ってほしい」という声をうけ、ことしはネット販売を行うということです。
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“異変”は、おとなりの新潟県でも起きていました。半分以上が「双子果」になってしまったという農園では…。
伊藤農園 伊藤稔明さん
「小さいお子さんでも、こういう双子果は喜ばれるけども、やっぱり丸い赤いやつを食べさせてやりたいなと思っています」
天候に振り回されているのは、サクランボだけではありません。”梅の里”とも言われる、埼玉・越生町では…
越生町民
「梅がなったとき、みんな梅酒とか梅干し作る」
「ジュースとかね」
「おにぎりっていったら、梅しかないんだから。しゃれたシャケとかあれとか、そんなもんじゃない、梅だよ」
町全体で、例年20トンもの梅を出荷しています。しかし、収穫シーズンを迎えた梅の農園には…
山口農園 山口由美さん
「ここはこんな感じで、ほとんどなってないですよね」
実がほとんどついていない木が多くありました。
山口農園 山口由美さん
「1個しかなってない、この枝とか。通常は木が垂れ下がる。重みで折れちゃう、(実が)なりすぎて。でも全然なってないからびっくり。葉っぱだけで実がない」
実際に、1日で収穫できた梅を見せてもらうと…
山口農園 山口由美さん
「けさとった梅だけど、これしかとれないからね」
2022年に撮影した写真には、床いっぱいにおかれた梅が写っていました。例年であれば、1日でその量の4倍ほど収穫できるといいます。
原因とみられるのが、ことし3月の寒暖差。花粉を運ぶハチの働きが鈍くなったことで、受粉が十分にできなかったとみられています。現在の収穫量は、多くても例年の3分の1程度です。取材中にも、発注の電話がきましたが…
スタッフ
「小梅どうしますか?」
山口さん
「もうないの」「毎年買ってもらってるからな…」
さらに、直接農園に梅を求めてくる人も…
山口さん
「小梅とりにきた?」
農園に来た人
「ネットで見て売ってるかなって。大丈夫です、顔出しただけ」
山口農園 山口由美さん
「すみません、ありがとうございます。今年ないの」
断らざるを得ない状況になっていました。
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山口農園 山口由美さん
「今年は凶作ということで、全国的に梅がなってないので、ぜひ、みなさん買っていただいて、農家の生活を応援してもらいたいな」