歴史的な「円安」1ドル145円目前に 「家族だけで給料も払わずに…」エサ代高騰で酪農家は…
14日の円相場は、一時1ドル=145円目前にまで迫りました。様々なものが値上がりするなか、酪農を営む牧場は輸入するエサの高騰に苦しみ、先行きへの不安な思いを訴えていました。
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東京・日野市にある倉庫を訪ねると、海外へ発送待ちの荷物を詰めた段ボールの山がずらっと並んでいました。
この倉庫は、「海外の方が日本の商品を買う」ことを代行する会社のものです。この会社では海外向けにホビー商品や、ウイスキー・時計などの高級品の取り扱いも増えているといいます。背景にあるのは、円安です。
BEENOS 直井聖太社長
「(取り扱い額は)昨年と比較して22.6%増ということで、今回、円安が進むとダイレクトに海外のお客様は『安くなった』とお感じになられると思います」
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13日に発表されたアメリカの「8月の消費者物価指数」は、前年同月比で8.3%上昇しました。
のアメリカの物価ですが、ロサンゼルスにある店で「パニーニ」を注文すると、税金とチップを合わせて日本円で3000円近くとなりました。この店では、材料費や人件費の高騰をうけ、1年で3度、価格を見直し、ほぼ全てのメニューを2割ほど値上げしました。
利用客
「最近は何でも高いので、バーに行くのを制限しています」
店側の不安は日々大きなものに――
オーナー サイラスさん
「ほとんどのものが値上がりしました。本当に大変な状況です」
このインフレを抑えたいアメリカが“大幅な利上げを続ける”との観測が広がり、14日の円相場は、13日夜のアメリカの消費者物価指数の発表からわずか半日で、3円近く下落しました。
さらにアメリカ市場で、ダウ平均株価が1200ドル以上下落しました。この流れを受け、日経平均株価の終値は800円近く下がり、2万8000円を割り込む大荒れの展開となりました。
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この歴史的な円安に振り回されているのが、日本経済です。180頭の乳牛を約10人で育てている千葉県八千代市の加茂牧場を取材しました。
加茂牧場 加茂太郎さん
「ここが、うちの牧草置き場になります」
さらなる値上がりに備え、約3か月分という牧草が積まれていました。えさに使う牧草や配合飼料は輸入しているため、この半年で3~4割値上がりしました。
20年かけて、家族経営から社員5人を雇うまでに牧場を拡大させてきましたが――
加茂牧場 加茂太郎さん
「これ以上続くと結局、給料も払えなくなってしまうので、人員の削減をしたり、(牧場の)規模を小さくして、昔のように家族だけで給料も払わずにということを考えなくちゃいけない」
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円安であえぐ国民の声。先の読めない急激な為替変動に対して、政府・日銀は打つ手を見つけられるのでしょうか。