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冬の電力需要ひっ迫? 岸田総理「最大9基の原発稼働を指示」9基の内訳は?西日本に偏在する原発再稼働

2022年7月15日 21:21
冬の電力需要ひっ迫? 岸田総理「最大9基の原発稼働を指示」9基の内訳は?西日本に偏在する原発再稼働
今冬 稼働予定の原発9基

この冬、電力需給のひっ迫が懸念されるなか、岸田総理は「最大9基の原発稼働を指示」した。工事や検査期間の見直しなどで稼働を急ぐ9基。その内訳をみると、日本列島で偏在する原発の稼働状況が見えてくる。

■稼働進める9原発とは?

「驚きの発言ではない。この冬動かせる原発はもともと9基しかないのは規定路線。ウルトラCはなかった」

そう話すのは、原発政策に携わる政府関係者だ。14日、岸田総理は記者会見で電力需給のひっ迫が懸念されるこの冬、最大で9基の原発の稼働を進めると話した。

この冬の電力需給は全国的に厳しい見通しが示されている。11年前の福島第一原発事故以降、常に国論を二分してきた原発の再稼働。参院選に大勝し、2025年まで国政選挙がない「黄金の3年間」を手にした総理が、どこまで原発について踏み込む発言をするか、注目されていた。

前述の政府関係者は「最大9基」とされる原発の内訳をそらんじる。稼働の対象になるのは以下の原発だ。関西電力の美浜原発3号機、大飯原発3・4号機、高浜原発3・4号機(全て福井県)、四国電力の伊方原発3号機(愛媛県)、九州電力の玄海原発3号機(佐賀県)、川内原発の1・2号機(鹿児島県)。

いずれも原子力規制委員会の厳しい審査に合格し、安全対策工事も完了、地元同意を得てすでに再稼働を果たした原発だ。

つまりこの冬に向けて新規に再稼働する原発ではない。また9基のうち、4基については現在も運転中だ(7月15日現在)。

萩生田経済産業大臣は、総理会見の翌15日、閣議後の会見で、工事や定期検査の期間の見直しなどを行い、あらためて最大9基の 稼働を確保する方針を示した。懸念材料はないのか。

9基の中に含まれる高浜原発3号機、4号機ではこの春以降、相次いで蒸気発生器と呼ばれる重要機器に傷が見つかっている。また美浜原発3号機は、運転開始から45年が過ぎている“老朽原発”だ。テロ対策施設の工期短縮によって、当初計画より2か月前倒しし来月中の運転開始と予定を変更している。電力の安定供給の確保は喫緊の課題だ。

一方で、工期の見直し(=工期の短縮)をしても、原発の稼働には最大限の安全を確保することも求められる。

■東日本の原発再稼働ゼロ

「東日本の原発が再稼働しない限り、首都圏の電力懸念は続く」

そう話すのは、原発の再稼働を進める経済産業省の関係者だ。日本地図を俯瞰すると、稼働する原発は西日本の原発だけなのがよくわかる。西日本には事故を起こした福島第一原発と異なるタイプの原発が多く、再稼働が東日本の原発に比べてスムーズに進んだのだ。

しかし、日本列島は東西で電力の周波数が違うため、東西間の電力融通には制約がある。西日本偏在の原発稼働は全国的な安定供給の課題の解決とはなっていないことも留意が必要だ。