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【老舗百貨店が変化を目指した1年】盛岡のカワトクの大型リニューアルの成果は?地方百貨店の課題は?

2024年4月5日 18:54
【老舗百貨店が変化を目指した1年】盛岡のカワトクの大型リニューアルの成果は?地方百貨店の課題は?

(吉岡伸剛キャスター)
 5日のフカボリは、盛岡の老舗百貨店、カワトクが新体制として再スタートをきってから1年。その成果と苦しい状況が続く地方の百貨店の課題について三浦記者とお伝えします。

(三浦裕紀記者)
 経営の再建を目指し行政と民間のファンドが出資する新しい会社で去年4月、再スタートを切ったカワトクですが、ことし1年「変化」することを目指し、積極的な売り場のリニューアルに取り組んできました。

もちまきが行われたリニューアル第1弾の初日。その会場となった屋上も人工芝を敷き詰めて誰でも遊ぶことができるスペースに変わりました。

3階は、人気のアウトドア用品を集めた売り場に改装。南部鉄器のフライパンなど岩手の商品も並びます。

 さらに、3月は1階と3階に大手アパレルメーカーが手がける広いスペースを使ったセレクトショップがオープンしました。この1年、高級感は維持しつつも客層のターゲットを広げ、より訪れやすい場所を目指し、リニューアルを続けてきました。

 客
「リニューアルあちこちでする度に、若い人が増えていると感じる」

 カワトクの舵取り役を担うのが創業家以外で初の社長を務める荒道泰之社長、岩手銀行の出身です。

荒道泰之社長
「今の時代、変わらないリスクのほうが大きい。変わるべき」

 再出発にあたり最も大切にしたのが「変化」でした。

荒道泰之社長
「百貨店は労働集約産業。人がすべて。川徳を再生しなければならない、自分たちの力で。意識が強くなった」

 創業158年の川徳。年間の売り上げはピーク時、約400億円でしたが、再スタート前の3年間は、200億円を下回り、半分以下となっていました。1年前のインタビューでも荒道社長は時代の変化に応じず、変わらなかったことが取り残された原因と話していました。

荒道泰之社長
「こんなに世の中変わっているのに変化をしなかったから取り残された。その結果が旧カワトクの結果」

 リニューアルしたコスメ部門は前の年度より売り上げが2割アップ、ゴルフコーナーも売り場を広げ、1割売り上げがアップするなど成果が現れています。

20代女性
「予約していた香水とボディークリームを買いに。手ごろな価格のものもあるので、ここにずっといられる」

訪れた人
「人が入るようになった。それが良い。盛岡生まれ、盛岡育ち、大事な大事なカワトク」

荒道泰之社長
「(昨年度の)売り上げ高は予定通りいかなかったが、収益はクリアしている。及第点をあげたいと社員に言った」

(吉岡伸剛キャスター)
 百貨店にとっては新型コロナが「5類」に移行したこともプラスに働いていそうですね。

(三浦裕紀記者)
 リニューアルはしていませんが、食堂や喫茶店の部門も昨年度は2割売り上げがアップしていて、「5類移行」は確かに追い風となっているようです。しかし、地方の百貨店が置かれている状況が苦しいことには変わりはありません。

 日本百貨店協会に加盟する地方百貨店はピークだった1999年に全国に213店舗ありました。しかし今は、半分以下の106店舗。東北で見ると、ピーク時の1998年の33店舗の3分1の11店舗に減りました。岩手はカワトクがありますが、山形など百貨店がない県もあります。

 去年1年間の売り上げを見ても、主な10の都市は11.8%売り上げがアップしましたが、地方は1.7%のアップにとどまりました。東北は4%マイナスと唯一売り上げが減った地区となりました。

(吉岡伸剛キャスター)
 地方百貨店の売り上げが厳しくなっている理由は何でしょうか。

(三浦裕紀記者)
 主な理由はこちらです。まずは、「人口減少」です。地方の人口減少は深刻で、そもそも店を訪れる人が減っています。さらに、「郊外に大型店舗ができたこと」や、「インターネット販売が普及したこと」により、ライバルが増えたことで売り上げに大きな影響を与えています。そして、バスの本数が減るなど公共交通の衰退が与える影響も小さくはありません。

 流通の専門家に話を聞きました。

流通アナリスト 中井彰人さん
「公共交通の衰退、車社会化になって中心市街地自体が暮らす地域住民の人の動線から外れてしまっている、中心市街地自体があまり人が来ない場所になってしまっているこれが一番の要因」

 岡山市は、対策として公共交通機関を無料にする実験を行いました。すると、中心市街地を訪れる人が増え、百貨店もおよそ10%客が増えました。中井さんは「公共交通を充実させ、さらに周辺の環境をみんなで魅力的にしていくことが大事」と話します。

流通アナリスト 中井彰人さん
「百貨店及び、街、市民、みんなが共同で中心市街地を再構築する、中心市街地に来る理由をつくる、理由がないと来ないので。街ごとにつくっていくことが重要な問題になるもし、百貨店が中心市街地の中になくなってしまっては、さらに中心市街地が来る理由のない場所になってしまう」

 再スタートから2年目のことしもカワトクは、「人が来る理由」になるために変化を続けます。

荒道泰之社長
「1階正面に今までにはないコンテンツのお店を考えている。2年目が勝負の年になるチェンジ、リニューアルをどんどんやって新しいカワトクを全面に出していきたい」

(吉岡伸剛キャスター)
 変わることは、行きたくなる大きな理由にもなりますよね。

(三浦裕紀記者)
 流通アナリストの中井さんは「地方の中心市街地は、大都市のように自然に人が集まる場所ではないので、訪れたくなる魅力をつくっていく努力がより必要」と話していました。

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