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【独自解説】「全体的に経済を強くしないと、食料危機は起こりやすい」年内最大の“値上げラッシュ”に悲鳴も…卵高騰の背景には、あの“国民的フェア”!?米や食料品の価格高騰に専門家警鐘「日本全体の問題」

2024年10月8日 16:00
【独自解説】「全体的に経済を強くしないと、食料危機は起こりやすい」年内最大の“値上げラッシュ”に悲鳴も…卵高騰の背景には、あの“国民的フェア”!?米や食料品の価格高騰に専門家警鐘「日本全体の問題」
経済評論家・加谷珪一氏が今の日本に警鐘を…

 年内最大の値上げラッシュとなった2024年10月。食品だけではなく薬・郵便・ガス代なども値上がりし、生活にも大きく影響を及ぼす可能性も。今後、値上げは加速していくのか?日本の問題点は?経済評論家・加谷珪一氏の解説です。

■この時期ならではの、ある“フェア”が卵高騰に影響⁉“石破ショック”で今後は…

 今回の値上げで目立っているのが、生活に欠かせないハムやソーセージ・食用油・飲料の値上げです。経済評論家・加谷珪一氏によると、「今回の値上げは、春ごろの円安によるコスト上昇が影響している。このまま円高が進めば、年明けには落ち着く可能性も」ということです。

Q.円安によるコストの上昇は、遅れてくるんですね?
(経済評論家・加谷珪一氏)
「3~6か月のタイムラグがあるので、今値上がりしているのは、春から夏にかけての円安の影響です。“石破ショック”といわれていますが、石破政権の政策の方向性だと、円高と株安になります。そうなると、株にはちょっと困りますが、円高になると輸入品の値段が下がるので、この円高が続けば、年明けは少し価格が落ち着く可能性もあるかもしれません」

 また、卵も高騰しています。卸売価格(東京)は、2024年1月は180円/kgでしたが、同年9月は256円/kgに。猛暑の影響で生産量が減った一方で、外食産業の“月見フェア”で需要が高まっていることが、高騰の理由だということです。ただ、2024年9月24日の時点では、坂本農水相(当時)が「供給状況は改善される見込み」だと話していました。

 さらに、コメも過去最高値に。2024年8月の卸売価格は60kg当たり約1万6133円で、全銘柄の平均が前年と比べて17%も上昇しています。 『ガスト』などを運営する『すかいらーくホールディングス』では、ライス関連商品が30~55円値上げとなっています。

Q.コメは本当に、一時期スーパーやコンビニに行っても、ありませんでしたよね?
(加谷氏)
「一時期は、棚になくなってしまうような状態でした。いろんな影響がありますが、日本人がお米を食べなくなってきて、生産量が減っていることが大きいです。だから、ちょっと需要が変化しただけで、価格が跳ね上がることになります。もっと皆さんがお米を食べるようになれば価格は安定すると思いますので、国内でのお米の消費を増やす努力が必要だと思います」

■食品だけでなく薬も… 『ヒルドイド』『タミフル』など、1095品目で自己負担額が増加

 原材料・包装資材などの高騰が影響し、第一三共ヘルスケア『ロキソニンS(12錠)』は713円から768円に、栄養ドリンク『ルル滋養内服液ゴールド』は627円から748円になるなど、値上げの波は薬にも。

 また、保湿剤『ヒルドイド(クリームタイプ100g)』は、厚生労働省が自己負担額を引き上げ、3割負担の場合は555円から813円に。他にも、インフルエンザ治療薬『タミフル』や解熱・鎮痛剤『カロナール』など、1095品目が対象です。自己負担額引き上げの理由は、「ジェネリック医薬品の利用促進のため」「国の医療費を抑えるため」だということです。

Q.「ジェネリックをもっと使ってほしい」という国の方針もあるんですか?
(加谷氏)
「そういうことです。もちろんコストが上がっているという面がありますが、自己負担額に関しては別の理由です。高齢化が進んでいて、医療費全体を抑制しないと医療の財政が回らなくなるので、できるだけジェネリックを使ってくださいという方針の下で、こういう運営が行われています」

■生活に欠かせないインフラも…郵便料金・ガス代・電気代も大幅値上げ 専門家指摘「経済力をつけないと“買い負け”する」

 そして、値上げは食品以外にも。これまで25g以下84円・50g以下94円だった『定形郵便物』は、2024年10月1日から一律で50g以下110円に。また、これまで63円だった『通常はがき』も85円になるなど、郵便料金が変更されました。郵便物が減っている一方で人件費・物流費が増えていることが値上げの理由で、2023年度の『郵便・物流事業』は686億円の赤字だったということです。

 平均的な家庭でみると、2024年10月は前月と比べて、電気代(大手10社)が 324~403円・ガス代(大手4社)が185~243円上がる見込みです。値上げの理由は、2024年8月から再開されていた電気・ガスの補助金が同年10月から縮小されるためだということです。

Q.猛暑の影響でエアコンがないと危険で、これからは寒い季節になってきますが、政府は補助金をどうするんでしょうか?
(加谷氏)
「一時期に比べるとかなり円高なので、この水準が維持されると結構安くなるはずです。ただ、元の円安に戻すと値上がりするので、補助の延長という話が出てくると思うので、政府にとっては悩みどころだと思います」

Q.円安・円高でこれだけ経済が影響されるということは、食料自給率なども上げておかないとダメですね?
(加谷氏)
「食料自給率を上げると同時に、経済力をつけないと、買い負けしてしまいます。いくら自給率を上げても、全ての食材を国内で揃えることはできないので、全体的に経済を強くしないと、食料危機は起こりやすくなりますから、日本全体の問題です」

(「情報ライブ ミヤネ屋」2024年10月1日放送)

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