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塾禁止令に保護者困惑 “闇塾”相次ぐ中国

2022年1月13日 18:48
塾禁止令に保護者困惑 “闇塾”相次ぐ中国

中国では去年、「学習塾禁止令」が発表され、保護者は困惑しています。ピアノ教室を装い勉強を教えるなど、違法に営業する“闇塾”も相次ぎました。学習塾へ締め付けが強まる一方、試験科目の変更で今、注目されているのが“運動塾”です。

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12日、中国・北京市内の建物の中で解体工事が進められていました。

記者
「こちらは以前、大手学習塾の本社があった場所なんですが、今はですね、中をのぞいてみますと、跡形もなく全て壊されてしまっています」

去年9月、大手学習塾の本社があった場所では、突然の塾の閉鎖に伴い、授業料の返金を求める保護者が殺到しました。

塾の担当者
「マスクを着けてください!」

保護者
「マスクは今関係ないでしょ!」

保護者
「そうだ!関係ないことだ!」

政府が打ち出した“塾禁止令”によって、保護者は困惑していました。各地でこうした塾の閉鎖や、倒産が相次いだ背景にあるのが、過熱する受験戦争です。

「日本以上の学歴社会」といわれている中国。安徽省では多くの人々が、バスで大学受験に向かう生徒を送り出していました。

ある少女は、習近平国家主席らを輩出した清華大学に合格しました。有名大学に合格すれば、街の誇りや英雄として祝福されます。このため、多額の費用を払って、複数の塾に子どもを通わせる親が少なくありません。

「(塾に)あなたが来るなら、あなたの子どもを教えます。あなたが来ないなら、あなたの子どものライバルを教えます」と親の不安をあおる塾の広告も、問題になっていました。

“塾禁止令”は、行き過ぎた受験戦争に歯止めをかける狙いがあるとみられます。しかし、違法に営業するいわゆる“闇塾”が、新たな問題となっています。

表向きは「ピアノ教室」を装っていたこの塾。実際には、ピアノの前に子どもを座らせ、勉強を教えていたのです。他にも絵画教室や、ヨガ教室を装う“闇塾”が各地にでき、当局による摘発が相次いでいます。

学習塾への締め付けが強まる一方で今、注目されているのが運動塾です。

記者
「ショッピングモールの中で、子どもたちがリレーの練習をしていますね」

上海にできた運動塾では、6歳から12歳の子どもたちにさまざまな運動を教えています。

運動塾の先生
「右足をあげて一歩後ろに…スタート!」

週1回60分の授業で、月謝は日本円にして約2万8000円です。決して安くはありませんが、ここ最近、入塾希望者が急増しているといいます。その理由は――

保護者
「中国の入試でスポーツがどんどん重視されるようになったので、試験の点数を失いたくないんです!」

実は上海では、去年から「運動」が高校入試の正式な試験科目になったのです。短距離走やサッカーなど4種目を選択して受験します。今後さらに配点が高くなることも決まっています。運動を試験科目に取り入れる動きは、北京など他の都市にも広がっています。

保護者
「運動塾に毎年55万~75万円かかります」

運動塾の担当者
「運動の配点が増えて、需要が大きくなっていて、こうした運動教室はどんどん増えています」

受験のために運動にも取り組み始めた中国の子どもたち。厳しい競争は続きそうです。

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