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万博で2万世帯立ち退き、不動産価格高騰

2010年4月24日 21:39

 上海万博の開幕まであと1週間。24日は会場に30万人の招待客を入れてリハーサルを行うなど、準備も追い込み段階に入っている。このような中、上海では不動産価格の高騰が問題となっている。

 万博開催が決まった02年、会場付近は古い住宅や工場が立ち並ぶ下町だった。付近一帯では、万博開催に伴って約2万世帯が立ち退いた。万博のため立ち退きとなった人たちは今、郊外にある地域に住んでいる。

 朱金利さん(72)は、立ち退きの補償としてマンションの部屋3つと1300万円を受け取った。トラブルを避けるため、市当局が手厚い補償政策を取ったという。

 しかし、朱さんのように不動産事情に恵まれた人は例外。中国の不動産価格は、前年比11.7%と急上昇を続けている。上海の中心部では、一般的なマンションが平均年収の100倍以上するほど値上がりした。

 会社員・徐健さん(29)は、築16年の中古マンションを1600万円で購入した。この物件は4か月後には2割も値上がりし、徐さんは市場の異常さに驚いている。収入の4割をローンの返済に充てている徐さんが無理をしてでもマイホームを買ったのは、結婚する時、男性は家くらい持たなければならないという中国の伝統的な考えがあってのことだった。

 万博会場のほとんどのパビリオンは、開催期間の後、取り壊されてオフィスビルや高級マンションなどに建て替えられる見込み。上海の一等地だけに、付近の不動産価格はさらにはね上がり、市民には手の届かない存在になるかもしれない。